昼の部はおなじみ串田和美演出がほどこされた舞台。『通し狂言 加賀見山再岩藤』である。
この作品、あの『鏡山旧錦絵』のパロディなのだ。入間家の息女・大姫がお気に入りの中老・尾上は、局岩藤に恨まれ窮地に落とされる。尾上に仕えるお初は尾上の代わりに岩藤らと武道の試合で実力を発揮し岩藤を打ち据えた。だが尾上は岩藤にあろうことか草履で打たれるはめに。お初は尾上を心配するが、ついに尾上は自害。お初は岩藤を討ち二代目尾上にとりたてられる。
今回のドラマはここから始まる。
二代目尾上であるお初は墓場で恐ろしい岩藤の亡霊に出会うが、朝日の弥陀の尊像を向けると、亡魂の岩藤は一転して美しい花霞の中を飛んでいってしまう。一方、多賀家の忠臣・花房求女は殿様の怒りを受けて浪人に。小者・鳥井又助、悪人・望月弾正と殿様の側室お柳の方の悪事を暴こうと、誤って正室・梅の方を船上に暗殺してしまう。又助の妹は眼病の求女を助けようと身売りまで考え、弟の志賀市は盲目で、習い覚えた琴を奏でる。結局罪を悔やんで又助は切腹、詮議に来た安田帯刀に後を託す。というのが主なストーリーだ。
配役
岩藤の亡霊・望月弾正・梅の方・鳥井又助 中村勘九郎
花房求女 中村扇雀
又助妹おつゆ 中村七之助
蟹江一角 片岡市蔵
多賀大領・安田帯刀 坂東弥十郎
お柳の方・二代目中老尾上 中村福助
小屋のすぐ前には浅草奥山の風景も再現された。
