さて明日は初日。
「自分ではこれでいい!と思っても、お客様の反応ばかりは分からない。これでいいのか、あれがいいのか、試行錯誤してきましたが、明日からのお客様の反応が気になりますね」と、緊張の具合が伝わってくる。
梅玉さんのリラックスの方法は?
「劇場を離れるともう芝居のことは考えないんです。音楽、特にFMでイージーリスニングを流しっぱなしにすることかな。テレビドラマは見るのは好きではないので見ませんし。あ、東京の佃の近辺を意味もなく歩き回るのが好きですね。古い東京と新しい東京が同居しているようで面白いんですよ」。
佃といえば、下町の風情の残るしっとりとした区域だ。いまや高層マンション立ち並ぶ人気のベイエリアでもある。そんな新旧の魅力が混在する佃界隈を歩く梅玉さんをちょっと想像してみる・・・。まさに伝統と、新作のエネルギーの両方を貪欲に吸収していく歌舞伎の役者にふさわしいスポットのように思えてきた。
●プロフィール
なかむら・ばいぎょく
屋号 高砂屋
6代目中村歌右衛門の養子。昭和31年3月歌舞伎座『蜘蛛の拍子舞』の福才で加賀屋福之助を名乗り初舞台。42年歌舞伎座『絵本太閤記』十次郎などで8代目中村福助を襲名。平成4年4月歌舞伎座『金閣寺』の此下東吉などで4代目中村梅玉を襲名。
梅玉さんオフィシャルサイトはここ。
●公演情報
国立劇場大劇場
3月8日(土)~24日(月)
出演 中村梅玉 中村歌昇 坂東吉弥 中村翫雀
片岡孝太郎 中村玉太郎 中村歌江
予約 03-3230-3000
国立劇場ホームページはここ
梅玉さん主演の3月国立劇場の新作歌舞伎は、古典とはまた別の味わいのあるなかなか素適な舞台に仕上がっている。特に梅玉さんが演出した『白骨城』の方はインパクトのある舞台設定や衣裳も見所。歌舞伎の別の面を楽しめる3月の国立劇場だ。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。