歌舞伎/歌舞伎関連情報

歌舞伎を初めて観る方へ

「歌舞伎って一度観てみたいとは思うんだけど難しいし」・・・そんなあなたに「タイプ別歌舞伎攻略法」を考えてみました。

執筆者:五十川 晶子

相次ぐ襲名披露興行や歌舞伎役者のドラマ出演、あるいは現代演劇への出演や独自の公演など、歌舞伎は、いや伝統芸能自体への関心が、現在高まっているようです。今年は歌舞伎4百年だったこともあり、「初めてだけど是非劇場で観たい」と思っている方も多いと思います。でも、
「歌舞伎って一度観てみたいとは思うんだけど、テレビとかで観ててもすぐ寝ちゃうし、筋がわかりにくいし、台詞が昔の言葉で聞き取りにくいし、約束事が多いじゃないですか。チケットも高いし」――こんな風にお考えの方は結構多いと思います。歌舞伎は難しい……これって非常にごもっともなご意見だと本当に思います。

それもそのはず。歌舞伎そのものの存在が構造的に“なんか複雑”ものなので、しょうがないといえばしょうがないんです。って開き直ってるわけじゃないですよ。ただ無責任に「誰でもすぐに簡単に分かります」とはいえる代物でないのは確かです。

まずものすごく大雑把にいってしまうと、歌舞伎の“難しさ・複雑さ”には理由がふたつあります。
歌舞伎には演劇、そし「総合芸術」という側面があります。つまりストーリー、台詞、音楽に舞台美術、役者、小道具・大道具……と、元々構成要素が多岐にわたります。それらが織り成す空間や世界を、五感をフルに使って体感して初めて「わかる」「楽しめる」ものといっていいでしょう。
また演劇は原則として、劇場へ出かけていってその時間中を拘束されて観るものですから面倒といえば面倒。いずれにしろ、好きな音楽を聴くように、MDを1枚ポンとプレーヤーに入れれば済む、というわけにはいかないです。

「演劇」という側面を横軸とすると、もうひとつ縦軸があります。歌舞伎の場合、上記の構成要素のひとつひとつに、歴史・伝統、決まりごとがある点が特徴です。ストーリーや役柄、台詞や所作はもちろんのこと、役者にしろ、音楽の種類にしろ、大道具・小道具の意味や、衣装や鬘(かつら)の意味などさまざまな舞台上の約束事、継承された技や伝統、なんだかんだといわゆる「ウンチク」があるわけです。むろんこれらを知った上で観るとなおのこと面白い。でも相当面倒。敬遠したくなるのもむべなるかな。

でも、ですね。「すぐ手に入ってすぐ覚えられて、すぐ分かる」エンターテインメントがほしければ、今の世の中苦労せずにどこにでも見つかりますよね。早い話、テレビの番組にはそういうものが多いし、ゲームだって基本的にはそうだし。だから、ちょっとだけ準備したり、ちょっとだけ「ん?」と思ったり、ちょっとだけ苦労してみたり。まあそういう、「ちょっと」努力して(”努力”って言葉はなんか重いですけど)得た面白さというのはまた格別だと思います。1度では分からなくても3度目にはなんかはまっているとか、そういうちょっとずつ面白くなっていくエンタメってのも味があっていいじゃないすか。

というところで「じゃあ具体的にはどうするんだ」と思われることでしょう。以下、お節介ながら、あなたの「タイプ別歌舞伎攻略法」を考えてみました。
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます