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松浦亜弥 「Alo-Hello!」

ざっくりアイドルの系譜を分類するなら、ピンクレディー、キャンディーズ、松田聖子、小泉今日子のような歌系アイドル

執筆者:小島 聡


松浦亜弥 Alo-Hello! 角川書店 2500円 ISBN4-04-853591-9

  総合評価☆☆☆☆☆


ざっくりアイドルの系譜を分類するなら、ピンクレディー、キャンディーズ、松田聖子、小泉今日子のような歌系アイドル、山口百恵、薬師丸ひろこ、原田知世のような映画系アイドル、宮沢りえ、広末涼子、加藤あいなどのようなCM系アイドルなどに分類できるかもしれない。もちろんこれらはあくまでイメージであり、相互に重複したりする。バラエティやドラマ、またグラビアなどまだまだ様々な分類もできる。松浦亜弥は久しく待望された歌系アイドルであり、また確立されたキャラがある。正当派アイドルと呼ばれるゆえんである。毒気を放つキャラ、神秘的なキャラ、無口なキャラ、攻撃的なキャラ。タレントには様々なキャラクターがあるが、松浦亜弥は最高値まで高められた「明朗快活さ」がある。「歌」+「明朗さ」。この最近みられらない新鮮さのスタイルが人気を増幅させている。テレビ画面上の松浦亜弥を見ていると笑顔を崩さないという点と、司会者からの問いに対しての即答ぶりが目立つ。このあたりも徹底的にイメージを崩さない。

さて、今回の写真集の売りは天下のアイドルの初のビキニ水着写真集。ハワイの海岸での撮影は水着姿が満載で、表紙を飾っている星条旗のビキニ姿、水玉模様のビキニと初の水着写真集であるにもかかわらず非常に多くの水着ショットがある。アイドルの写真集の良し悪しは見る人の趣味趣向によって様々だ。水着姿の数や、エッチなショット、普段見られない表情を見たいなどなど。Alo-Helloは、松浦亜弥の明朗さが躍動的に伝わってくる。静止像を見ているだけで、動画のような動き、音まで聞こえてくるような躍動的な表現が見て取れる。写真集とDVDは同じ表紙、同じタイトルのものだが、DVDという動画メディアと比較して写真集が勝る点は、その写真一枚一枚がおそらく数倍から数十、数百倍にもおよぶシャッターの中から写真家、なり本人なりが選び抜いた一枚一枚であり、松浦亜弥、関係者、ファンが共有する一枚一枚である。一枚一枚のメッセージなり、表現なりの面白さがある。最後の数ページのキャップをかぶった何枚かの写真は映像での松浦亜弥とは異なる、静かで無口な表情の笑顔があり、秀逸の写真であると思う。

キャラが立っている松浦亜弥のDVDは映える。DVDは、この写真集のメーキングを中心に撮影されている。短パンTシャツ姿でハワイのhello proショップからテレビの特番風にはじまる。本人によるハワイ紹介。車に乗ってワイキキビーチをながし、シーライフパークなる水族館のようなところを元気にまわる。ここでも松浦亜弥のタレントとして特筆すべき点は、数秒足りとも沈黙をつくらない彼女のスピーチ能力の高さだ。アシカやエイを見て、これだけコメントできるアイドルは少ない。よく芸人が東南アジアなどで飲んだり食べたりしながら現地をレポートする番組があるが、かれらにも引けをとらないリアクションの良さが際立つ。ラニカイビーチで、初のビキニ姿で浜辺で遊ぶ。本当に楽しそうだ。仕事を楽しむ能力がある。それが彼女の元気印なのかと改めて認識する。22分ころから登場する躍動的なビキニ姿は、DVDを買ったものしか目にすることのできない衝撃かもしれない。そのほかピチピチでタイトなカウボーイ衣装での乗馬、夕暮れの浜辺のフラダンスなど美しいハワイの景色も目に染みる完成度の高い作品と思う。
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