第79回のアカデミー賞作品賞の栄冠は、マーティン・スコセッシ監督の『ディパーテッド』に決まり、今年のアカデミー賞も幕を閉じました。残念ながら、『バベル』で、助演女優賞にノミネートされていた菊池凛子さんも、受賞ならず。どうしてこうなったの?と、疑問だらけの私たちのために、来年のオスカー受賞を95%の確率で当てる方法を考えてみました。
アカデミー賞を選ぶ人は誰?
ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還は、人気ファンタジー映画で唯一作品賞に選ばれた映画。 |
最近は俳優出身の監督作品が話題に上がることも多いのですが、よっぽどでないと受賞できません。昨年はジョージ・クルーニー監督の『グッドナイト・グッドラック』が、6部門ノミネートはされましたが、受賞はありませんでした。今年も、エミリオ・エステベス監督の『ボビー』は世界的に評価も高かったのにもかかわらず、ノミネートされませんでした。
レオナルド・ディカプリオのように、何度ノミネートされても、受賞できないケースもあります。以前なら、アル・パチーノやポール・ニューマンも何度ノミネートされてもなかなか受賞できませんでした。アル・パチーノは6度目で、ポール・ニューマンは7度目のノミネートでやっと主演賞を受賞できたのです。
若い人気者は、なかなか受賞できないのです。そういうところは、甘くありません。今回助演男優賞にノミネートされていた『ドリームガールズ』のエディ・マーフィが、確実視されていながら取れなかったのも、お金を稼ぐ人気者のイメージが強かったのだと思います。『幸せのちから』で、主演男優賞にノミネートされていたウィル・スミスも、そういう意味では、難しかったでしょう。
選ばれる作品も、会員の年齢層が高いため、若い人向けのアクションや、ファンタジーはノミネートの対象外になりがち。ファンタジー映画で作品賞を受賞した作品は、『ロード・オブ・ザ・キング/王の帰還』のみです。
アカデミー賞ノミネート作品選出は、本選とは違う?
第79回アカデミー賞作品賞・監督賞受賞作『ディパーテッド』(C)2006 Warner Bros. Entertainment Inc. |
ノミネート作品が選ばれる段階では、各部門関連のアカデミー会員だけが投票し、決まります。つまり、作品賞のノミネート作品を選ぶのは、プロデューサーのアカデミー会員、監督賞のノミネート作を選ぶのは、監督のアカデミー会員、俳優部門賞は、俳優のアカデミー会員というように。プロの視点で、作品がふるいにかけられるわけです。
ノミネート作の中から選ばれるアカデミー賞は、すべての部門が、全会員の投票によって行われます。その時点で、プロ的視点から、一般的視点に変わるのです。
昨年は、大本命の『ブロークバック・マウンテン』が、『クラッシュ』に敗れる波乱がありました。専門的に見て優れた作品というより、一般受けのいい作品が支持されたのかもしれませんね。
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