大ヒット作があなたをヒーローの道へ誘う？

『ゴッド・ファーザー』シリーズや『バック・トゥー・ザ・フューチャー』シリーズなど、いつまでも語り継がれ、愛される大ヒット映画があります。スター・ウォーズシリーズやロード・オブ・ザ・リングシリーズもそうです。スパイダーマンやバットマンもそうです。そういう映画と、季節が過ぎれば忘れ去られるヒット作との違いはどこにあるのでしょうか？

大ヒット映画には神話が埋め込まれています

ジョージ・ルーカス監督は神話学者ジョセフ・キャンベル氏の影響を受けていることで有名

大ヒット映画が作品として優れているのは確かですが、それ以上に共通しているのが、古代から伝わる神話や民話の構造が、うまく象徴化され埋め込まれているという点です。一番有名なのは、『スターウォーズ』シリーズですね。ジョージ・ルーカス監督が神話学者のジョセフ・キャンベル氏の影響を強く受けたというのは、『スターウォーズ』が好きな人ならほとんど知っている話ではないでしょうか？

ルークやマーティ、ピーター・パーカーが辿るのが、自らの闇と対峙し成長し、試練をくぐり抜け勝利を得る英雄の旅路とすると、マイケル・コルレオーネやアナキン・スカイウォーカーが辿るのはアンチヒーローの道です。勝利の後、力を過信して高慢になったあかつきに待っているのは転落なのです。

一口に神話といっても、ヒーローの道からアンチヒーローに堕ちる道、アンチヒーローがヒーローへと変身する道、あるいはその過程の一部が、映画の中では描かれます。それらのパターンはハリウッド映画脚本家の世界ではゴールデン・ルールと呼ばれ、映画ヒットの方程式のように言われているようです。

現代では、映画が神話の役割を持っている

ロード・オブ・ザ・リングの人気の秘密はどこにあるのでしょうか？フロドの旅は困難な英雄の旅路です

神話学者のジョセフ・キャンベル氏は『百の顔を持つ英雄』という本の中で、世界中に伝わる神話は、共通パターンがあることを示しました。その共通パターンは、わたしたちの中に眠っている元型や集合的無意識の産物だというのです。『神話の力』という本の中で、わたしたちがいきいきと生きていくために神話は必要不可欠なものともしています。

ですが、今では、わたしたちが神話に触れる機会はあまりありませんね。代わりにあるのが、映画やゲームなのです。昔から伝わる神話のエッセンスに満ち溢れた力強い作品が、わたしたちの心を打つのは、当然かもしれません。

そういう作品は、わたしたちの心に眠るヒーロー魂を揺さぶるというと、言い過ぎでしょうか？ わたしたちは、普段は普通のOLやサラリーマンや学生の生活をしていて、それ以上の存在だと思う機会などありません。それでも試練や転機は訪れます。そうなると、ヒーロー並の何かが必要になる事だってあります。

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