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銭湯+笑い=超名作ドラマ『時間ですよ』(2ページ目)

下町の銭湯を舞台に、笑わせ泣かせて、70年代に一世を風靡した往年の名作ドラマ「時間ですよ」。その魅力は決して女湯のシーンばかりではありません(笑)。それまでになかった斬新なドラマ手法について考えます。

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

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ゴールデンタイムにヌード!!

水曜劇場の時間ですよCD
『TBS 水曜劇場の時間ですよ』(Sony Music Direct)
『時間ですよ』をはじめ、「水曜劇場」から生まれたヒット曲を網羅しています
当時のドラマの中で異色だったのは、女湯の場面で普通にヌードが出てきたこと。もう一つは、ドラマの中にコントのコーナーがあったことでした。松の湯の従業員役で出演していた堺正章、樹木希林(当時は悠木千帆)、川口晶の3人が、ドラマとは無関係なギャグを展開し、本編の人情路線との落差が大いに反響を呼びました。

この時は2クールの半年をもって一旦終了するも、1年のブランクを経て、71年7月に第2シリーズがスタート(この時からカラーに)。以降も頻繁に連続ドラマや、スペシャルドラマとして制作され、「おかみさ~ん、時間ですよ~」の名フレーズは、時代を超えて日本中に浸透したのでした。

個性的な出演陣

このドラマで日本を代表するおかみさんとなった森光子は、他のレギュラーメンバーが入れ替わる中、一貫してシリーズを支えてきました。そのおかみさんの尻に敷かれっぱなしの「だんなさん」は、シリーズごとにベテラン俳優が演じてきました。日曜劇場では先代の中村勘三郎が。連続ドラマとなってからは船越英二が、どこか頼りな気な亭主役を好演しています。

こうした中心メンバーだけでなく、銭湯の客という脇役にも個性的な出演陣を配したところに『時間ですよ』の独自性が息づいています。隙あらば女湯を覗こうとする助平な平さんに江戸屋猫八、銭湯に来てまでケンカの絶えない夫婦に正司敏江・玲児、「総理」のあだ名で親しまれている田中角栄のそっくりさん、豊原泰三などなど。なんてことのないシーンでも見逃せないのが『時間ですよ』であり、久世ドラマでした。

ドラマ主題歌のヒットは、それまでにも多くの前例がありましたが、『時間ですよ』の場合、ドラマ内で歌われる挿入歌が次々とヒットしました。堺正章の『街の灯』、天地真理の『恋は水色』、浅田美代子の『赤い風船』など。変わったところでは、74年に放送された『時間ですよ・昭和元年』の挿入歌、さくらと一郎の『昭和枯れすすき』というのもありました。

次のページでは、演出家・久世光彦の凄さをご紹介します。
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