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広川太一郎が僕らに残してくれたもの(3ページ目)

去る3月3日、人気声優の広川太一郎氏が、68歳の若さでこの世を去りました。「広川節」と呼ばれる独特フレーズは、誰の耳にも残っている筈。多岐に渡る生前の足跡をたどり、改めてその存在を再認識したいと思います。

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

お笑い・バラエティ番組ガイド

その声は永遠に

Mr.BOO!ミスター・ブー
『Mr.BOO!ミスター・ブー』(ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン)
テレビ放送時の吹き替えをそのまま収録。あの爆笑が蘇る!!
冒頭に記したように、広川太一郎の仕事は多岐に渡り、その全てをここで紹介することは残念ながらできません。ただ一つだけ付け加えて置くならば、コミカルな作品ばかりクローズアップされてしまいがちですが(このコーナーもまた、そうなってしまいましたが)、シリアス作品で耳にする低音の美しさこそが、広川さん本来の持ち味なのかもしれません。

ただ、プロフェッショナルとして常に作品のクオリティを高めようとする努力から、あの決して他人にはマネできない「広川節」が確立させたのでしょう。あのいかにも口からでまかせのように軽~く聞こえてしまうフレーズの数々も、収録前に広川さんが睡眠時間を削ってまで考え抜き、台本が真っ黒に成る程手書きで書き込んだ結果なんですから。

今後、新たな「広川節」を楽しむことができないのは、涙が出るほど哀しいことですが、先の「モンティ・パイソン」のように、幸いにも過去の名吹き替えが、DVD作品となって復活するケースが、最近目に見えて増えてきています。「Mr.BOO!」シリーズもそうですし、アニメでは『チキチキマシン猛レース』のキザトト役を楽しそうに演じる広川さんの声を、DVDで楽しむことができます。

最後にもう一言だけ

私達ファンは、まだまだ広川さんの声を、アニメや海外ドラマや、ナレーションで楽しめるものと、勝手に思っていました。まったく心の準備ができていなかっただけに、今は悲しみよりも、心の中にぽっかり穴が開いたような空虚感の方を強く感じています。

正直、こうした文章を書くことも、ついさっきまで思いもよらなかったほどです。でも今は違います。残された我々にできるのは、広川太一郎という人の素晴らしさを、今後も伝え続けていくことだと思います。それが、今までさんざん楽しませてくれた広川さんにできる、唯一の恩返しなのかもしれません。

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