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広川太一郎が僕らに残してくれたもの

去る3月3日、人気声優の広川太一郎氏が、68歳の若さでこの世を去りました。「広川節」と呼ばれる独特フレーズは、誰の耳にも残っている筈。多岐に渡る生前の足跡をたどり、改めてその存在を再認識したいと思います。

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

お笑い・バラエティ番組ガイド

あまりにも早すぎます!!

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トニー・カーティスの声を吹き替えた広川さんの、流れるような軽妙な台詞に酔いしれましょう
去る3月3日、声優・ナレーターおよび広く語りの仕事で、多くの人々に笑いや感動を与えてくれた広川太一郎氏が、ガンのため東京都渋谷区の病院でお亡くなりになりました。68歳というあまりにも早すぎる死でした。

放送業界で長く第一線で活躍してきた広川さんですが、顔を表に出さない声だけの仕事が多かったために、中には名前を知らない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その独特な語り口は、誰もが耳にしているはずです。

アニメ、洋画の吹き替えから、テレビバラエティ、CMのナレーション。そしてラジオではディスクジョッキーやドラマなど、ありとあらゆる「声の仕事」で、その才能を発揮してこられた広川さん。今回はその足跡をたどりながら、天国に駆け足で旅立ってしまった故人を偲びたいと思います。

甘い二枚目から、個性的キャラへ

1940年2月15日、東京都に生まれた広川太一郎(本名・広川 しん次郎[しんは言へんに甚])は、日本大学芸術学部演劇学科卒業後、学科の先輩が東北新社のディレクターだったことから、60年代より洋画や海外ドラマの吹き替えを手掛けはじめました。当初は『ローンレンジャー』『ラットパトロール』などのシリアスなドラマで、二枚目の役を忠実に演じていたそうです。

後にファンの間で「広川節」と呼ばれる、機関銃のような早口で、アドリブらしきフレーズを挟みこむ手法が生まれたのは、69年に放映開始されたアニメ『ムーミン』からでした。尊大で嫌味なキャラクター・スノークを演じる広川さんは、台詞の随所に「はたまた」「なんともはや」といった不思議な語句を加え、歌うような不思議なイントネーションでまくしたて、本来憎まれ役ながら、絶大な人気を獲得します。

海外実写ドラマでは、74年に放送された『ダンディ2』」が、「広川節」を取り入れた最初の作品と言われています。それまでにも多く吹き替えを担当してきたトニー・カーティス役でしたが、従来の典型的二枚目演技とは一味違う、軽妙な台詞回しは、視聴者を大いに驚かせましたが、声優としての広川太一郎は気になる存在として注目を集めることになりました。


次のページでは、あの代表作のお話です。
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