所得税と住民税の2種類の税金とは
給与明細を見ると、給料から「所得税」と「住民税」の2種類の税金が引かれていることに気づくはずです。どうして2つに分かれているの? 2つの違いは?という疑問が出てきますね。この違いを知っておかないと、退職後に住民税がかかった時にびっくりしたりすることになります。今回は、所得税と住民税の違いを解説します。【給与から引かれるお金を知りたい方はこちらの動画をチェック】
●目次
税金には直接税と間接税がある
税金には、自分自身で税金を納めている「直接税」と、直接納めていない「間接税」の2種類があります。直接税は、所得税や住民税、法人税などです。 間接税には、酒税やたばこ税、消費税などがあります。モノやサービスの上乗せ分として負担をしているものですね。このように、私たちはさまざまな形で税負担をしているわけですが、所得税や住民税は、個人の所得に対して直接税金を納めているものになります。
国税の所得税と地方税の住民税
また、税金は納付先によって国税と地方税に分けられます。国税は国に納める税金で税務署の管轄。また、地方税は都道府県や市町村などの地方自治体に納める税金です。個人の所得に関する税金のうち、所得税は国税で住民税は地方税となります。
同じ所得に対しても2つの税金がかかるというのは、この国税と地方税があるということからきているのですね。
所得税は「源泉徴収」で天引きされる
サラリーマンや公務員の人は、給与明細で「所得税」と「住民税」の2種類の税金が天引きされていることがわかります。この所得税は、「源泉徴収」という方法で天引きされています。源泉徴収というのは、あらかじめ予想される税金を差し引いて納める方法。1年間の収入が決まった時点で正式に税金が計算され、すでに源泉徴収されていたものを精算して、納税が終了します。この計算は「年末調整」と呼ばれています。
一般的にはこの「年末調整」で、所得税の計算や納付は終了です。ただ、医療費控除や住宅ローン控除などがある場合(住宅ローン控除の場合は1年目のみ)、確定申告をすることになります。この場合は、この確定申告で所得税が最終的に決まります。
住民税は前年の収入で決まる
所得税はその年(1月から12月)の所得に対して、その年に納税しています。一方、住民税は所得税とは違い、翌年度に税金がかかってきます。所得税が確定した後、その情報を元に住民税が計算されます。この新たな住民税は6月から適用されます。前年の所得に対して、翌年の6月から住民税がかかるということですね。
新入社員に住民税がかからないのは、住民税が前年の所得に対してかかるからです。同様に、退職して収入がないにもかかわらず住民税がかかるということもあります。
所得税と住民税で控除額は異なる
所得税と住民税の計算方法は少し違うのでご紹介しておきます。税金の額は、収入からさまざまな「控除」を差し引いて計算されます。この「控除」というのは、配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除や医療費控除など。納税者それぞれの事情を考慮しようというものです。
この控除額が、所得税と住民税では変わってきます。
例えば、誰でもが受けられる「基礎控除」。控除額は、所得税48万円、住民税43万円です(合計所得金額2400万円以下の時)。同様に、「配偶者控除」は所得税38万円、住民税33万円(合計所得金額900万円以下の場合。合計所得金額1000万円までは控除額が減額、合計所得金額1000万円を超えると配偶者控除は受けられない)。「生命保険料控除」は所得税が最高12万円が控除されるのに対して、住民税は7万円となっています(生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料控除あわせて)。
所得税率は所得が多いほど高くなる
最後に税率を見ておきましょう。所得税は所得金額によって5%から45%の範囲で決まります。所得が多いほど税率が上がる「累進課税」です。また、住民税は一律10%です。所得税と住民税の税額が異なり、疑問に思う人もいるでしょう。自分の所得税税率を知っておくと、税負担が具体的に感じられるかもしれませんね。
いかがでしたか? 給与明細から天引きされている所得税と住民税。税額をチェックするのはもちろんですが、この2つの税金の意味なども知っておくといいですね。退職後に住民税の請求でびっくり!ということのないようにしましょう。
なお、復興特別所得税に関しては、「給料から引かれるものって何?」記事を参照ください。
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