給与明細書の「支給額」と「振込額」の差はどうして?

サラリーマン(ウーマン)にとって、給与明細書は月に一度の楽しみ。また新入社員の初任給は、生涯で忘れられないものになるでしょう。入社○年という人も、昇給や残業のチェックに欠かせないものですね。

この給与明細書ですが、よく見ると「支給額」と「振込額」の差がかなりありますよね。これは、色々なものが控除されているからなのです。この控除額が多ければ、手取額も減るというもの。一体、何が引かれているのでしょうか。

給与から引かれるのは「税金」と「社会保険」

下の表は、給与明細書の一例です。給与明細書は会社によって書式が違いますが、控除されるものはほぼ共通で、大きく「税金」と「社会保険」とになります。下の表では、赤で囲まれたところが給与から控除されているものです。
給与明細書の一例。給与明細書は会社によって書式が違うが、控除される項目は共通(クリックで拡大)

給与明細書の一例。給与明細書は会社によって書式が違うが、控除される項目は共通(クリックで拡大)

■税金
(A) 所得税
所得税は会社があらかじめ給与から税金を天引きして代納する仕組み(源泉徴収)で控除されています。この源泉徴収された税金は、年末調整によって正確な税額と精算されます。

(B) 住民税
住民税は前年の所得に対してかかる税金です。その決まった税額を6月から翌年5月までの給料から控除されるという仕組みです。

■社会保険
(C) 健康保険
勤労者として自ら加入しているもの。大企業や企業グループは組合管掌健康保険に、中小企業などは協会けんぽ、公務員などは共済組合に加入しています。

(D) 介護保険
40歳以上になると介護保険の被保険者となり、保険料が徴収されます。

(E) 厚生年金
会社が厚生年金を適用してれば公的年金として加入し、被保険者になります。

(F) 雇用保険
労働者の生活と雇用の安定のために政府が行っている保険制度。失業時に失業手当(基本手当)が受給できます。

他にも、会社独自の制度や給与控除で加入している貯蓄制度などがあります。

初任給から天引きされるのは雇用保険と所得税だけ

このように、給料から色々な項目で控除され手取り収入がどんどん減っていくわけです。この中で初任給から控除されるのは、雇用保険と所得税です。

また初任給の翌月の給料からは、雇用保険と所得税に加えて、健康保険、厚生年金が引かれます。4月分の社会保険料は5月の給与から差し引かれるので、5月からの控除となるわけです。4月と違って5月になると、ぐっと手取額が減ります。

住民税は前年の所得に対して課税され6月の給与から天引きされるため、入社2年目の6月からは住民税も控除されます(詳しくは社会人2年目の6月 給与の手取り額が減る!も参照してください)。

労働組合費、共済費などが引かれる場合も

(G) 労働組合費
会社によっては、この他に労働組合費や共済費、労働争議準備資金などの名目で控除されているかもしれません。これらは、会社と労働組合とで協定がある場合です。これらは会社によって違いますので、会社や労働組合などに確認しましょう。

このように給与からはこれら社会保険(雇用保険、健康保険、厚生年金)、税金など控除されるものは数多くあります。天引きされるものについてチェックしてみましょう。

雇用保険料は給与の0.3%

社会保険
給与から天引きされている社会保険。負担額がどれくらいなのかを把握しておきたい
雇用保険は、失業時の基本給付や指定の教育を受けた時に給付される教育訓練給付金、育児や介護で仕事を休業する時に給付される育児休業給付や介護休業給付などを行っている制度です。

平成29年度の保険料率は1000分の3(一般事業・被保険者負担率)です。ちなみに、平成28年度は1000分の4、平成27年度までは1000分の5でした。近年は下がる傾向にあります。

健康保険の負担は大きい

次に健康保険について見ておきましょう。加入している健康保険は会社によって違います。健康保険組合(組合管掌健康保険)、共済組合、協会けんぽのいずれかに加入していることになります。

健康保険組合は会社が独自に運営するもの。共済組合は公務員が加入しており、協会けんぽは「全国健康保険協会」が運営するもので、主に中小企業の従業員が加入しています。

健康保険料は加入する健康保険で異なります。例えば、全国健康保険協会が運営する協会けんぽの保険料をみてみましょう。協会けんぽの保険料は都道府県ごとに保険料率が決められています。平成29年度の個人負担保険料率は、4.845~5.235%、平均で5%となっています。

健康保険料は標準報酬月額に保険料率をかけたものとなります。この標準報酬月額とは入社直後は初任給をもとに決められ、その後は通常4、5、6月の報酬より1年間の標準報酬月額が決められます。

また40歳を過ぎると、介護保険料も負担しなくてはいけません。控除される項目は更に増えるということですね。どちらにしても、健康保険料の負担はかなり高いといえます。

厚生年金の負担は9%以上!

最後に厚生年金の負担を見ておきましょう。厚生年金はサラリーマンなどが加入する年金制度です。同時に国民年金にも加入していることになり、いわゆる2階建ての年金ということですね。厚生年金に加入していると老齢年金の支給額が増えますが、負担もかなり高いものになります。

厚生年金の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算されます。保険料率は平成29年までひきあげられます(厚生年金保険料、忙しい時期で保険料が変わる!?も参照)。

平成28年9月から平成29年8月までの保険料率(個人負担分)は、9.091%。 健康保険より更に高負担ですね。健康保険と厚生年金であわせて13.936~14.326%。40歳以上で介護保険料も負担するとなると 14.761~15.151%にもなります(協会けんぽの場合)。

所得税は税率5%~、住民税は税率10%

最後に税金について見ておきましょう。税金の計算は上の社会保険と違います。給与控除や人的控除、社会保険料控除などを控除し、残った金額に対して税率をかけて税額が決まります。 所得税も住民税も1月から12月の1年間の所得に対して税金がかかります。

所得税はその年の所得に対してかかるので、正確な税額が決まるのは12月の給料が全て決まった後ですね。それまでは、会社が所得税を源泉徴収しており、年末調整において源泉徴収で納めたものと実際の税額とを精算します(詳しくは会社員の給与にかかる所得税の計算方法も参照)。所得税は所得によって税額が変わり、5%から45%となっています。

住民税は前年の所得に対して、6月から翌年の5月まで引かれていくという形になります。住民税の税率は一律10%です。(詳しくは住民税とは?住民税の基本を知ろうも参照)。

平成 25 年1月より復興特別所得税がプラス

平成23年12月2日に東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法が公布され、「復興特別所得税」及び「復興特別法人税」が創設されました。

復興特別所得税は平成25年度から平成49年度分の所得まで25年間、復興特別住民税は平成26年度から平成35年度まで10年間課税されます。

復興特別所得税は、今までの所得税額に2.1%の税率を乗じた金額となり、平成25年1月の給与から、所得税とあわせて源泉徴収されています。また、復興特別住民税は年額1000円となり、平成26年度から住民税が増税となっています。

いかがですか? 給与から控除される税金や社会保険はこのように負担がかなり高いことがわかります。皆さんも、給与明細書をよく確認してみましょう。 


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