世界遺産/アフリカ・オセアニアの世界遺産

ピラミッド地帯/エジプト(2ページ目)

唯一現存する世界七不思議のひとつ、ピラミッド。誰もが知るほど有名なのに、目的も建築方法も内部構造もはっきりしない謎の世界遺産だ。ギザの三大ピラミッドの他にガイドいち押しの裏三大ピラミッドも紹介する。

長谷川 大

長谷川 大

世界遺産 ガイド

得意ジャンルは世界遺産・世界史・海外情勢・海外旅行・哲学・芸術等。世界遺産マイスター、世界遺産検定1級文部科学大臣賞受賞。出版社で編集者として勤務したのち世界一周の旅に出る。現在は東南アジアを拠点に海外旅行を継続しながらフリーの編集者・ライターとして活動。訪問国数は約100、世界遺産は約250に及ぶ。

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ピラミッドっていったいなんなの?

スフィンクス。通常2体一対だが、1体しかない。ピラミッドよりずっと以前に造られたという説もあり、これもまた謎 牧哲雄

スフィンクス。通常2体一対だが、1体しかない。ピラミッドよりずっと以前に造られたという説もあり、これもまた謎 ©牧哲雄

クフ王のピラミッド内部の大回廊。吸い込まれるような気分になる不思議な空間 牧哲雄

クフ王のピラミッド内部の大回廊。吸い込まれるような気分になる不思議な空間 ©牧哲雄

「ピラミッド」とは、ギリシア語で「ピラミス」という三角形のパンのことを示していた。エジプトではピラミッドを示す言葉はいくつかあったようだが、一例では「メル」といい、古代エジプトでは象形文字ヒエログリフで「△」と示された。

ピラミッドはなぜ造られたのか? この論争はいまだ決着がついていない。紀元前5世紀の史家ヘロドトスの『歴史』には王墓とあり、以来王の墓であるとする説が一般化した。ところが、三大ピラミッドではミイラは見つかっていないのみならず、文書にも墓とする記録はない。

クフ王のピラミッドなど、いくつかのピラミッドの内部に入ることができるのでぜひ見学してほしい。ルクソールの王家の谷のように、墓につきものの派手なヒエログリフもなければ壁画もない。たしかにクフ王のピラミッドには「石棺」と呼ばれている蓋のない棺型の石はあるが、実際にそれが棺だという証拠はない。

 

ああああああああああああああああああ 牧哲雄

石棺と呼ばれているが、実際なんだったのかわかっていない ©牧哲雄

古代エジプトでは、埋葬の意味を持つ棺は地下に安置するもので、同じ宗教観を持っていたのにピラミッドだけ例外というのも考えにくい。盗掘されていたとしてもミイラは残るだろうし、棺の蓋がないのもおかしい。だいたい王の間には盗掘者が到達できなかったこともわかっている。といってもクフ王やカフラー王、メンカウラー王の墓も見つかっておらず、王墓説も完全に消えたわけではないようだ。

王墓説の他には天文台説や神殿説などがあるが、はっきりしたことはいえない。ただ、どうやら奴隷に鞭打たせて造られたものではないようだ。ピラミッドの近くにピラミッドを造った労働者の街が発見されており、そこに残る落書きからある程度当時の様子がわかっている。労働者には食事やワインが振る舞われ、労働者は率先してこの事業に取り組んでいた。ここから、ピラミッドは失業対策、あるいはなんらかの公共事業だったのではないかという説も唱えられている。 
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