絵本/春を楽しむおすすめ絵本

小さな春を探したい!早春の絵本(2ページ目)

冬から春に少しずつ変わっていく今の時期にこそ楽しめる早春の絵本です。つららの溶ける音。土の中から顔を出す草の芽。小さな春を絵本でもみつけてみませんか?

執筆者:鈴木 宏枝

双子の子グマがたずねる『ぽとんぽとんはなんのおと』

冬ごもりの穴の中で、クマのお母さんが双子の男の子グマを産みました。穴の中で、子グマたちは外の世界のいろんな音に耳を澄ませ、お母さんにたずねます。「かーん かーんって なんの おと?」「つっぴい つっぴいって なんの おと?」

秋口から真冬を越え、季節のめぐりを聴覚でたどっていき、「ぽとん ぽとん」という、つららの溶ける音を聴いたらもう春です。そうそう、世界はこんな音に満ちていたのだ、ということを思い、自分も穴の中から外の世界に出ていくような気持ちになれます。これから、ぽかぽかとした陽気の中で、きっとクマたちも立派に成長していくのでしょうね。

■『ぽとんぽとんはなんのおと』
さく:神沢利子
え:平山英三
出版社:福音館書店
出版年:1985.2
価格:840円(税込)

子リスたちの小さな冒険『もうはるですね』

りすの家族が木の上に暮らしています。ある日、おかあさんりすが「もう はるですね」と言いました。風は冷たく、雪は残っているけれど、「春が来た」と感じられるまぶしさです。おとうさんりすが「ゆきは そらへ かえるのさ」と言ったのを聞いた子リスのぱろとぴことぽろは、それが本当かたしかめに森から川へと小さな冒険に出かけます。

おかあさんりすの「もう はるですね」の言葉でひとめぐりして落ち着く絵本です。いわむらかずおさんの描く自然の絵はとても雄弁。雪どけの水の冷たさと、冬と春にちょうどはざかいのぴりりと澄んだ、しかしどこかにあたたかさを感じる空気まで伝わってくるようです。

■『もうはるですね』
作:いわむらかずお
出版社:至光社
出版年:1985
価格:1,260円(税込)

積もった雪が待ち望む『はるさんがきた』

降ってきた雪は、舞い踊ったり、毛糸の帽子にくっついたりして素敵。でも、つもった雪は上からも下からもぎゅうぎゅう押されて、つまらないだけです。

「いつまで こうしていなくちゃ ならないんだろう?」「なんでも はるが くるまでだってさ」

雪たちは上へ上へ、その次は下へ下へと伝言をしていきます。「はるさんは まだですか?」応答が行き来しているあいだに、確実に春はやってきて、ある日、雪のまわりで動くものがありました。いったい何でしょう?

雪にとって溶けるというのは悲しいことのように思えますが、この絵本では溶けることが喜びとして表現されています。出久根育さんの躍動的な絵が物語にぴったりで、春がくる瞬間を自分も一緒に体験したような気になります。

■『はるさんがきた』
作:越智のりこ
絵:出久根育
出版社:鈴木出版
出版年:2004.1
価格:1,155円(税込)

完全に春が来る前の今、一番実感をこめて読める絵本をセレクトしてみました。なごりの冬を送り、春の支度に向かってみませんか。
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『ぽとんぽとんはなんのおと』
ここで購入!冬眠中の穴の中で、まだ外の世界を知らない子グマたちの耳に、いろんな音が聞こえてきます。
『もうはるですね』
ここで購入!「雪が空にかえる」というお父さんの言葉を確かめに、子リスたちは川へ行きます。
『はるさんがきた』
ここで購入!積もってぎゅうぎゅうになった雪たちが伝言しあいます。「はるさんはまだですか?」「はるさんはまだですよ」
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