絵本/絵本関連情報

どんぐりの絵本で秋を楽しむ(2ページ目)

どんぐり拾いの季節になりました。工作によし、おままごとによし、のどんぐりを絵本の中でも楽しんでみませんか?どんぐりの表情の違いが分かるようになるかもしれませんよ。

執筆者:鈴木 宏枝

どんぐり兄弟、飛ばされる『どんぐりぼうやのぼうけん』

高い樫の木のてっぺんに家族で暮らしているどんぐりぼうやのオッケとピレリルは、ある秋の日、樫の葉に乗り、嵐の風にさらわれて、遠くのもみの木に住む小人のおばあさんたちのところまで飛ばされてしまいました。

帰ってこない息子たちを心配したどんぐりのお母さんから話を聞き、リスのスバン氏とはしばみ坊やがどんぐり坊やたちの救出に向かいます。ベスコフらしく、絵は素敵で文はいまひとつ散漫な。森に住む木の実や生き物たちの世界が楽しく描かれていて、まるで森の子たちのお芝居を見ているかのようです。おっかないおばあさんたちのところから帰ってこられてよかったね、オッケとピレリル!『どんぐりのぼうけん』(文化出版局)の新版です。

■『どんぐりぼうやのぼうけん』
作:エルサ・ベスコフ
訳:石井登志子
出版社:童話館出版
出版年:1997.10
価格:1,470円

木々の知恵『どんぐりかいぎ』

どんぐりを食べる動物は、秋のどんぐりを埋めておいて、冬の間、掘り出して食べます。でも、食べられなかったどんぐりは春になると芽を出し、次の若木になって育っていきます。でも、毎年一生懸命どんぐりの実をならせているうちに、どんぐりは動物に食べつくされて地面の下に埋めてもらえなくなり、増えた動物がまたどんぐりを食べるようになりました。木々は疲れきり、新しい芽も出ません。困ったどんぐりの木たちは「どんぐり会議」を開いて解決方法を練ることにしました。

ブナ科の木は花が咲いた年に実が熟すものと、花の咲いた翌年に実が熟すものがあります。その由来のお話を語る絵本です。片山健さんの迫力のある絵が、森の空気にぴったり合っています。隔年ごとに実をつけるというどんぐりの木の知恵、おみごと!科学絵本の『どんぐり』も一緒に読んでみてくださいね。

■『どんぐりかいぎ』
文:こうやすすむ
絵:片山健
出版社:福音館書店
出版年:1993.10
価格:880円

賢治の名作『どんぐりと山猫』

 あした、めんどなさいばんしますから、おいで んなさい。とびどぐもたないでくなさい。
山猫から来た不思議なはがきを持って、一郎が出かけてみると、どんぐりたちが一番を競い合って収拾がつかなくなっています。一郎がくだした名裁きは、どんなものだったのでしょう?

有名な宮澤賢治の絵本は、土の香りと、一郎と山猫の純粋な気持ちがあふれてくるようです。いい絵本がいろいろ出ていますが、ガイドが好きなのは小林敏也さんの画本シリーズです。お話では、一郎が選んだお礼は「黄金(きん)のどんぐりを一升」でした。このgolden acornという言い回しは、とても英語的です。花巻の地で外国の文化に憧れ、洋書を読んでいた賢治らしい小道具のように思えます。

■『どんぐりと山猫』
作:宮澤賢治
画:小林敏也
出版社:パロル舎
出版年:1979.5
価格:1,470円

>>次のページは もっとどんぐりのことを知ろう
『どんぐりのぼうけん』
ここで購入!風に吹き飛ばされたどんぐりの兄弟は、小人のおばあさんのところに落っこちて働かされる羽目になってしまいます。
『どんぐりかいぎ』
ここで購入!どんぐりの木と動物たちが上手に共存するには、どうすればいいでしょうか?
『どんぐりと山猫』
ここで購入!ある土曜日の夕方、一郎のところに不思議なはがきが届きます。
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