絵本/海外の絵本・外国人作家の絵本

しかけと色彩!エリック・カールの絵本(3ページ目)

エリック・カールさんの絵本をたっぷりご紹介します。迫力満点の動物の絵本や、詩的なリズムのある絵本など、どれも読み応え満点です。

執筆者:鈴木 宏枝

ピンチに飛んだ!『パッチン!とんでコメツキくん』

昆虫は背中が下になると仰向けで足をばたばたさせることが多いですが、コメツキムシは背中から跳ねて、またおなかを下にした姿勢に戻ることができます。このとき「パッチン」という音がするそうです。

この絵本のコメツキムシのぼうやは、飛んで着地をしたあと、ぶざまにひっくりかえったままで、なかなか跳ね起きることができません。コメツキムシじいさんが「パッチン・ピンッととびおきて あしで じめんに たつ やりかた」を教えてくれますが、背中からドテッと落ちるばかりです。

コメツキムシのぼうやが見事に跳んで足で立つことができるようになったのは、人間の男の子につかまるかという危機を脱するためでした。『だんまりこおろぎ』のこおろぎぼうやが仲間の女の子に挨拶したいという願いを持ったのと似ていますね。そうしたい!という強い心は、何かを実現するときの大きな力になるということです。

光センサーで、パッチン!と跳ねるときの音が聞こえるしかけになっています。耳をすませて、ぼうやの跳躍を聞いてみてくださいね。

■『パッチン!とんでコメツキくん』
さく:エリック・カール
やく:くどうなおこ
出版社:偕成社
出版年:1998/2001.10
価格:2,940円(税込)

このおじいさんの正体は……『ゆめのゆき』

おじいさんが小さな農場で働いています。飼っている動物は5種類で、名前はイチ、ニィ、サン、シィ、ゴー。それぞれどんな動物なのかはあとのお楽しみですが、最初のページには、胴体やおしりなど一部分が見えていますので当ててみてください。冬のある日、おじいさんはうたたねして雪の夢を見ました。

ゆめのなかで ゆきが ふってきました。キラキラ ひかる ゆきです。ゆきは しろい もうふで おじいさんを やさしく おおいました。

夢の中の雪はいつのまにか本物になり、イチ、ニィ、サン、シィ、ゴーのこともおおっていきます。動物たちがそれぞれ何だったのか、透明シートに描かれた「しろいもうふ」をめくって確かめてみましょう。

このおじいさんは何者か?最後に種明かしと、鐘の音の素敵なしかけがあります。裏表紙にはおじいさんのモデルになった版画家のバリー・モーザー氏の写真が載っていますが、親友だというエリック・カールさんともそっくりで笑ってしまいます。

■『ゆめのゆき』
さく:エリック・カール
やく:あおきひさこ
出版社:偕成社
出版年:2000/2002
価格:2,520円(税込)


>>リズムに乗って『月ようびは なにたべる?』『おほしさまかいて』
『パッチン!とんでコメツキくん』
ここで購入!なかなか上手にくるっと飛び起きられないコメツキムシのぼうやが、一生懸命、飛んでは地面からまた跳ねる練習をします。
『ゆめのゆき』
ここで購入!おじいさんが飼っている農場の生きものたち。冬になり、雪がしんしんと降り積もっていきます。
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