雨は流れてどこへ 『あめのひ』
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ここで購入!雨の日、女の子が外をながめています。町に降る雨、山に降る雨、雨はどこへ流れていくのでしょう。 | 自分の部屋で遊んでいる女の子が雨の降り出す音に気がつきます。窓に降りつけ、屋根に落ち、やがて下水に流れていく雨。野山では、雨が草原や池に降り、山から川へ、そして海へと流れていきます。
古典的なつくりですが、雨が様子を変えて流れていくことも、それを見つめる女の子の頭の中に広がる空想も、安心できる落ち着きがあります。シュルヴィッツの使う黄色と水色と薄ねず色は、本当に奥が深い! 雨の日に特有の静けさと、降った雨の「そのさき」に、女の子と同じ気持ちで思いをはせることができる絵本です。しかし、雨がふりそそいでいく先の海の絵は、そのまんま北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」。浮世絵の影響の大きさを改めて思いました。
■『あめのひ』
作・画:ユリー・シュルヴィッツ
訳:矢川澄子
出版社:福音館書店
価格:\1,260
発行日:1969/1972.9
ぽとんと落ちた雨粒は流れて『あまつぶぽとりすぷらっしゅ』
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ここで購入!野に降りそそぐ雨。ぽつんと落ちた小さな雨粒は、流れ流れて海まで到達します。 | ぽとり ぽっとん すぷらっしゅぽとり ぽっとん すぷらっしゅぽとり ぽっとん すぷらっしゅあめは ふる ふる あさ ひる ばん
ひなぎくの花びらに落ちた雨粒やアマガエルの背中に落ちた雨粒がやがて水たまりになり、池になり、川を流れ、湖に流れこみ、洪水を起こし、堰を越えてもっと大きな川になり、やがて海へと続いていきます。
『あめのひ』と同じように、「ぽとり ぽっとん」と落ちた小さな雨粒が、海までの長く変化に富んだ旅をしていく様子を追っています。いかにも弾む感じの「splash!」が「すぷらっしゅ」になっているのも、軽やかで洗練されたいますね。くすみを帯びておとなっぽい、ワイスガードの絵から、アメリカの古きよき時代が思い出されます。
川にたくさん浮かぶはしけや船は、なんだかそれじたいにぎやかなおしゃべりでもしているよう。雨粒の旅とともに、人間の暮らしの風景も楽しみたい絵本です。
■『あまつぶぽとりすぷらっしゅ』
さく:アルビン・トゥレッセルト
え:レナード・ワイスガード
やく:わたなべしげお
出版社:童話館出版
税込:
発行日:1946,1974/1996.6
いかがでしたか?雨粒の長い旅は、『しずくのぼうけん』(マリア・テルリコフスカ/ボフダン・ブテンコ/うちだりさこ訳、福音館書店)もおすすめです。雨の日も、どうぞ絵本でどうぞ素敵なおうちタイムを過ごしてくださいね!
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「梅雨・雨降り・・憂鬱だけど、絵本で楽しんじゃおう ♪雨も絵本で楽しもう♪」(育児の基礎知識)〔2004.6.18〕
<関連サイト>
「雨の日を楽しむ絵本」(絵本ナビ)
「雨の絵本」(ユウchan 絵本とおもちゃで子育て・孫育て)
「雨の日もステキ!!」(すばなしの会 みみずく)