きょうだい間で親から受け取る愛情や、家庭内での振る舞いに差が生まれてしまうことがあります。きょうだいを育てる上で気を付けるべきこととは? また、家庭内でのポジションにより形成された性格のせいで生きづらいと感じる大人に、今からでも変わる術はあるのでしょうか。

<兄弟差別 目次>

生まれた順、性差、相性などの違いが原因となる兄弟愛情差

兄弟差別・カインコンプレックス 生まれた順・性差などが原因の親から受け取る愛情差

生まれた順、性差、相性などの違いにより、親から受け取る愛情にきょうだい間で差が出てしまうことが


何でもよくできる優秀な第一子を基準のように考え、第二子を比較的できが悪いと感じてしまう。マイペースな第一子に比べ、第二子は兄姉の行動を見ているためか要領が良く、また年齢的に幼いこともあり、第一子よりも可愛く思う。

子どもたち本人の性格や能力に限らず、生まれた順、性差、親子の相性などの違いを発端に、きょうだい間で親から受け取る愛情に差が出てしまうことがあります。すると、きょうだいが同じような振る舞いをしている時でも、親は一人の子だけに辛辣な対応をしてしまう、ある子だけに愛情ある態度を示すなど、状況が次第にエスカレート。家庭という狭い空間では、いちど叱られ役が決まってしまうと、虐待などに繋がる可能性もでてきます。
 
常に怒られてばかり、冷たい態度をとられてばかりの子は、「自分は親に愛されていない」「自分はダメだ」と感じながら成長します。この子が自信を持てなかったり、親の顔色をうかがったりという様子に、親はさらに苛立ちを募らせてしまうという悪循環。子どもの親への反発心も強まり、親子の溝は深まるばかり。きょうだい間の関係性にひびが入るきっかけにもなってしまいます。

▽参考記事
兄弟・姉妹を同じように愛せない!悩むママへの処方箋
 

上の子が抱えがちな心理・葛藤とは

兄弟差別・カインコンプレックス 上の子可愛くない症候群

上の子の赤ちゃん返りをケアできず、親子間もきょうだい間も関係悪化というケースも


2人目が生まれると、親は家事・育児にてんてこ舞い。家事や上の子の相手に加え、新生児の世話をまた一からしなくてはならないのですから、忙しない生活を送ることになります。上の子には「少しでも協力してくれたら嬉しい」「できるだけ手を煩わせないでほしい」と考えるのが正直なところ。

そんな親の思いとは裏腹に、上の子が親を困らせるような言動を繰り返すようになってしまう現象が「赤ちゃん返り」。下の子にイタズラしたり、家事をしていてもまとわりつき過度にスキンシップを求めるなど、幼い頃に逆戻りしたかのように甘えたり、わざと困らせる態度をとったりしたりして、親の気を引くのが目的です。

それまで親の愛情や関心を独り占めしていたのに、突如として現れた下の子にばかり親の気が向いている状況に、自分は見放されたのではという不安を感じています。下の子が生まれたら上の子のこうした心境も踏またうえで、接してあげましょう。

また大きくなってくると、「おにいちゃん(おねえちゃん)なんだから」と我慢をする機会が多かったり、いつも怒られるのは自分ばかりで、その時の親への不満や淋しさを大人になっても抱えている人も少なくありません。

▽参考記事
「上の子可愛くない」甘え下手な上の子の心理と対応法
生まれ順による兄弟姉妹の違いと対応法
 

末っ子や中間子が感じやすい不満は?

兄弟差別・カインコンプレックス 末っ子や中間子の不満

末っ子や中間子にも、当人たちなりの不満がある


■末っ子が感じる兄弟差別
親から頼られ、しっかりしなさいと言われることをプレッシャーに感じながら育つ上の子とは反対に、末っ子からよく聞く不満は「いつまでも子ども扱いしないでほしい」というもの。末っ子の多くは甘え上手でかわいがられやすいですが、その分いつまでたっても家庭内で「一番幼く、未成熟である」と扱われることにストレスを覚えるのです。

同じ習い事をしてみても、年齢的なリードがある上の子の活躍が目立ち、劣等感を抱いてしまう。自分に回ってくるのはいつも「おさがり」なのに、上の子が買い与えてもらえる新品がまぶしく見える。末っ子には末っ子なりの不満があります。

■中間子が感じる兄弟差別
では一番上でも一番下でもない中間子はどうかというと、良くいえば自由で気まま、悪くいえば、親から最も放っておかれがち。上の子のように頼られもせず、下の子のように甘やかされもせず、実は注目されにくいポジションです。

中間子は時と場合によって上の子扱いされたり、下の子扱いされたり。どっちつかずの立ち位置に不満を持ちながらも、バランス感覚がよく手がかからない子になることが多いようです。

▽参考記事
生まれ順による兄弟姉妹の違いと対応法
 

優秀な子、出来が悪い子という親の比較

兄弟差別・カインコンプレックス 成績や学歴が優秀な兄弟をひいき

優秀な子、出来が悪い子という親の比較やひいきがきょうだい仲を悪化させてしまう


きょうだいといえど別の人間。一人ひとりの顔や性格には個性があり、まるで同じということはないというのは、納得されやすい事実です。ところが、こと勉強の成績や人付き合いとなると、同じように育てているのにこの子はどうして上の子のように良い成績がとれないんだろう、お友だちづきあいがうまくないんだろう、と考えてしまう親がいます。身体や性格における個性は受け入れられやすいのに、成績や社交性に関する違いは受け入れられにくいのです。

きょうだいというのは、いちばん身近な比較対象です。親は優秀で人に愛される子であってほしいと願い、出来のいいほうの子どもを基準にしてしまいます。出来が悪いと見られる子としては、たまったものではありません。子どもたちが比較されて育ってしまうと、比べてくる周囲に不信感を抱くだけでなく、きょうだい間の仲まで悪化しかねません。

▽参考記事
兄弟間の成績差・進学格差を心配する保護者に知っておいてほしいこと 
きょうだい同じように育てているのになぜ?と悩んだら
 

認め合えるきょうだい関係を育むために
1.兄弟間で比較せず、その子自身の魅力を見つける

このように親による兄弟差別が、きょうだい間の関係に不穏を持ち込んでしまいかねません。きょうだいの中の立ち位置や関係が、性格形成や生き方にまで影響を及ぼすこともありえます。互いに認め合える、良いきょうだい関係を育んでいくために親が気を付けるべきことを4つご紹介します。
 
兄弟差別・カインコンプレックス その子自身の魅力を見つける

その子自身の魅力を、ちゃんと見つけてあげること


成績、習い事、社交性……親はきょうだいの能力や性格を比較し、「出来がいい子」と「悪い子」として扱ってしまいがち。きょうだいを比較する意味などないことはわかりながら、深く考えることもせずに「あの子はよくできたのに、あなたは苦手なんだね」「あの子の方が生活態度が落ち着いていると先生が言っていた」などの比較の言葉を投げかけ、きょうだいに互いへの負の感情を植え付けてしまいます。

例えば「(器用ではないけど)根気がある」「(素早くはないけど)慎重に行動できる」など、その子自身が持つ魅力をしっかり見て、それを本人に伝えてあげましょう。

▽参考記事
認め合える兄弟・姉妹関係を育むために親がすべき事
 

2.兄弟喧嘩は成敗しない!

兄弟差別・カインコンプレックス 兄弟喧嘩

兄弟喧嘩は成敗せず、平等に話を聞いていき双方の気持ちを言葉にして相手に伝えるサポートを


きょうだいで過ごす時間があれば、多少の喧嘩が起こるのは自然なこと。大怪我が懸念される場合や、感情的におさまりが効かなくなっているときに大人が冷静な対応をしてあげることは重要ですが、基本的には過度な干渉は禁物です。

なかでも、決してしてはいけないのは、喧嘩の流れもわかっていないのに、頭ごなしに上の子を叱ってしまうことです。喧嘩の仲裁に入る際には、感情がたかぶっている子どもたちから平等に話を聞いていき、双方の気持ちを言葉にして相手に伝えてあげましょう。子どもには子どもの言い分があって意見を衝突させているのですから、「お姉ちゃんなんだから、我慢しなさい」「お兄ちゃんなのに、どうしてそんなこと言うの?」などと理不尽に封じ込めるような言い方をしては、上の子の不満は溜まるばかりです。

▽参考記事
兄弟喧嘩に対する正しい親の対応は?悩みのタネを解消
 

3.平等に接するのではなく、個々の子どもと向き合う

兄弟差別・カインコンプレックス 個性

子どもの個性や、きょうだい間でのポジション、環境の違いを考慮しつつ個々の子どもと向き合おう


「同じ我が子なのだから、きょうだい全員を平等に、同じように育てなければ」と思ってしまうというのも、子育てで起こりがちなあやまちのひとつ。確かに同じ我が子で、きょうだいという間柄ではありますが、様々な個性をもつ別の人間です。また、子ども本人の違いだけではなく、子育ての環境も親の仕事や家族の健康状態などによって変化していくのが当然。子どもたちに一律に同じ接し方をするよりも、子どもの個性や、きょうだい間でのポジション、環境の違いを考慮しつつ個々の子どもに向き合いましょう。

▽参考記事
認め合える兄弟・姉妹関係を育むために親がすべき事
きょうだい同じように育てているのになぜ?と悩んだら
 

4.「お兄ちゃんだから」「お姉ちゃんだから」は禁物

兄弟差別・カインコンプレックス お姉ちゃんなんだから、お兄ちゃんなんだから

親がつい言ってしまうことが多い「お兄ちゃんなんだから」「お姉ちゃんなんだから」セリフは禁物


「お兄ちゃんだから我慢しなさい」「お姉ちゃんなんだから、喧嘩の相手なんかしないの」……これらはきょうだい間のいざこざを収めるために、親がつい言ってしまうことが多いセリフです。そもそも、子どもはきょうだい間で何番目に、どんな性別をもって生まれてくるのか選べる訳ではありません。こうした、子ども自身では変えることができない部分を理由に我慢を強いられても、納得は得られにくいことでしょう。

子どもの頃に理不尽な育てられ方をされたことから、きょうだい仲が悪くなってしまったという声は一定数聞かれます。きょうだい間に遺恨を残したくないのなら、「お兄ちゃんだから」「お姉ちゃんだから」は禁物です。

▽参考記事
認め合える兄弟・姉妹関係を育むために親がすべき事
若貴から学ぶ兄弟の育て方
 

「きょうだいらしさ」が原因で葛藤をかかえるあなたへ

「3つ子の魂100まで」と言われるように、幼い頃に家族との関係性の中でつくられた生き方への姿勢が大人になっても続いたことで、葛藤を抱えるケースは少なくありません。

たとえば、気がつけばいつもリーダーシップをとり、友人間でも職場でも相変わらず優等生タイプな上の子。わがままを言わず何事もそつなくこなすため、周囲の評価は良いものの、手を抜くことや適当にダラけることができず、いつも気持ちに余裕を持てない一面を持っています。「泣きごとを言いたい気持ち」「甘えたい気持ち」を認めてあげることができず、息苦しさを抱えている場合、自分に対して「いつも頑張らなくてもいいんだよ」「泣きごとを言ったり、甘えたいときもあるよね。そんな自分を出してもいいんじゃない?」というメッセージを送ることで、スタンスに変化が出てくるかもしれません。

対して末っ子や中間子は、面倒なことは上の子タイプの人にお願いし、手を抜けるポジションを確保。「お得」な立ち位置をやめられない一方で、リーダーシップ経験、チャレンジ経験に乏しい自分に劣等感を感じていることもあります。「自らの力で何かを成し遂げたい気持ち」「あきらめずにやり抜きたい気持ち」に欲求不満を感じているようであれば、「一歩踏み出しさないと、何も始まらないよ」「思い切ってやってごらん、何かが変わるから」と自分に語りかけ、自分自身の背中を押してあげましょう。

きょうだい間の葛藤の中で生きてきた人には、未解決のままになっている子どもの頃からの感情があるはずです。兄姉として、弟妹としてふさわしい振る舞いをし続けているうちに、心の中に置き去りにしてきた感情を自覚することから、少しずつ自分を変えていくことは可能です。その感情に焦点を当て、自分自身を慰め、勇気づけ、行動で満たしてあげましょう。それが、「兄姉らしさ」「弟妹らしさ」の囚われから自由になるための第一歩になります。

▽参考記事
「きょうだい」の葛藤が「私」の性格を決める訳

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