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子を車に放置 パチンコ依存症の親たち・前(2ページ目)

パチンコに興じる親に炎天下の自家用車内に放置され、熱中症・脱水症で命を落とした子供たちのニュースが後を絶たない。哀しい事件の背景には、推定100万人と言われるパチンコ依存症の問題が潜んでいる。

河崎 環

執筆者:河崎 環

子育てガイド

パチンコ・ネグレクト(育児放棄)症候群

同じような事件が度重なり、虐待の一形態としての「育児放棄(ネグレクト)」が一般に知られるようになった。

児童虐待とは、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、育児放棄(ネグレクト)の4つに大別される。児童虐待を扱う機関である、全国の児童相談所に寄せられた虐待相談は児童福祉法の施行された2000年度には1万7725件に上り、「児童虐待」の社会的認識が高まるにつれて、通報・相談件数はうなぎのぼりに増加している。

その中で、多くを占めているのが身体的虐待と育児放棄(ネグレクト)だ。ネグレクトとは放置虐待とも呼ばれ、子どもが健康に生活していくための衣食住の世話や保護をせずに、親としての責任を放棄して、子どもを放ったらかしにしておくことと定義されている。具体的には

・ 食事を与えない・衣服を着替えさせない
・ 劣悪で不潔な生活環境下におく
・ 入浴させない、学校へ行かせない
・ 病気の子どもを病院に連れて行かない

などが挙げられる。痣(あざ)や怪我など、その証拠があらわになる身体的虐待とは違い、生活面での虐待であるネグレクトは顕在化するまでに時間がかかる。子供の様子があまりにもおかしい、衛生や栄養状態に疑問があるなど、医師、保育園、学校、近隣など周囲からの通報で虐待が明らかになるケースが多い。

しかし、子供を自家用車内に残してパチンコに興じる親たちには、自分のしていることが育児放棄であり、罪になるという認識があるとは言えない。

親がパチンコに夢中になっている間に自家用車内で子供が命を落としてしまう事件の背景には、多くのパチンコ店が子供連れの入店を断っているという現実がある。自分たちはパチンコがしたい、でも子連れでは入れない、だからせめて車の中で寝かせておく。その何が悪いのか仕方がないじゃないか、という認識である。

理由が何であれ、保育が必要な子供を放置しておくことは親の育児放棄であり、それが短時間であっても万が一それが原因で子供が死に至ってしまえば、保護責任者遺棄致死罪に問われる。度重なる「パチンコ・ネグレクト」事件がいやというほど報道され、その危険性が訴えられても、同じような事件が後を絶たないのはなぜなのか。その背景には、推定100万人以上と言われる「パチンコ依存症」があると言われている。

《パチンコ依存症の親たち・中篇》その数推定100万人 パチンコ依存症の深い闇
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