「親業(おやぎょう)~子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方」(大和書房)
トマス・ゴードン著 近藤千恵訳
定価:本体1900円+税
誰でも親にはなれる。でも、「よい親」になるのは難しい。
世界中で読まれている「親業」の創始者・ゴードン博士のベストセラー!!
親子の会話、12の間違い
近年マスコミでも大きく取り上げられた、トマス・ゴードン博士の「親業(おやぎょう」訓練法(PET)。70年代に草の根的に全米で広がり、社会現象化した運動でした。日本でも親たちはもちろん、教育界でも広く信頼されています。
この「親業」メソッドでは、親がいかにして子どもに話しかけるかに注目し、その中で親の反応を12の型に分類しています。
例えば、あなたのお子さんがこんなふうに言ったとしましょう。あなたの答えは、下の12の型の、どれにあてはまるでしょうか?
例:子ども「AちゃんがBちゃんとばかり仲良くして、私を仲間はずれにするの。2人ともだいっきらい!」
1.命令・指示子どもに何かをするように(しないように)言う。命令する。
「さあ、行ってAちゃんBちゃんといっしょに遊びなさい!」
「そんなこと言わないの!」
2.注意・脅迫子どもにあることをすればどんな結果になるかを言う。
「もう一度そんなことを言ってごらん、もうこの部屋で遊ばせないよ」
3.訓戒・説教子どもに何をすべきか、しなければならないかを言う。
「そんなことを言うものじゃない」
4.忠告・解決策などを提案子どもに、どうしたら問題が解決できるか、助言、提案を与える。子どもに代わって答えや解決策を出してやる。
「AちゃんとBちゃんに、うちに来て遊ぶようにさそったら?」
5.講義・論理の展開事実・情報・論理・親自身の意見などで、子どもの判断に影響を与えようとする。
「子どもはみんな仲良くしなきゃいけないのよ」
6.批判・非難子どもに対し否定的判断、評価を下す。
「おまえはよくわかっていない」「それは未熟な考え方だ」
7.称賛・同意肯定的評価、判断を示す。同意する。
「おまえの言うとおりだ」「私もそう思う」
8.悪口を言う・ばかにする・辱める
「お前は甘ったれ小僧だ」「弱虫ね」
9.分析・診断子どもに対して子ども自身の動機は何かを解説する。あるいはどうして子どもがその言動をするか、原因を分析する。子どもの気持ちがわかっていること、または、子どもの診断をすませたことを伝える。
「おまえは、Bちゃんにやきもちをやいているだけでしょ」
「本当は思っていないんだろ」
10.激励・同情子どもの気持ちをよくしようとする。子どもをいまの気持ちから脱け出させようとする。子どものいまの感情は強いものでないと否定する。
「明日になれば、またちがったふうに感じるんじゃないの」
「おまえは、ほかの子どもたちと仲よくやってるじゃないの」
11.質問・尋問原因・動機・理由を知ろうとする。親が自分で問題を解決するのに役立つ情報を子どもから得ようとする。
「いつからそんなふうに感じはじめたの」
「どうしておまえといっしょに遊びたくないって?その子たちはおまえに理由をいったのかい」
12.中止・注意をほかへそらす問題から子どもをそらそうとする。親自身が問題から逃げる。子どもの注意をほかへそらす。冗談でまぎらわせる。
「そんなこと忘れなさい」
「まあいいじゃないか。もっと楽しいことを話そうよ」
ゴードン博士によれば、これら12の型のうちのどれかに自分の反応があてはまれば、「あなたは親としてかなりふつうだといえる」そうです。しかし、誰でもが普通に言っているこんな言葉が、子どもたちの気持ちを親から遠ざけてしまうというのです。
次ページ: なぜ?そして子どもは口を閉ざす/大人同士の会話も同じ