寄生虫とアレルギーの関係
子どもにとって泥んこ遊びも大切なもの |
藤田紘一郎先生の著書『笑うカイチュウ』の中では、こう書かれています。
「寄生虫にかかったヒトの体内では、寄生虫の排せつ物が抗原になってアレルギー反応のもとになるIge抗体が多く作られる。さらに活性のないIge抗体も作られ、『たとえ杉や花粉やダニがやってきても、もはやそれらに対するIge抗体を産生する余裕がなくなってしまう』から、アレルギー症状が出にくくなるという。細胞レベルの実験ですでに確かめている」(以上『笑うカイチュウ』より引用)
一方、著書の中では、寄生虫とアレルギーの関係が有効であるからといって「アレルギーには寄生虫がイイ」とおすすめしているわけではありません。目黒寄生虫館の職員と話してみると、「そのようなことをすすめているわけではない。気をつけて欲しい」と話していました。世間ではその奇抜な発想ゆえに「寄生虫は花粉症に効く」とか「アレルギーが寄生虫で治る」といった言葉が独り歩きし、誤った行動を起こす人が増えたのも事実です。
藤田先生の著書の中では、「清潔志向が流行れば抗菌を行い、その反対に有機栽培が流行れば寄生虫感染の可能性をそ知らぬふりをしてその波に流されることの恐ろしさや、人間はあらゆる生物(寄生虫も)と共存しながら生きていかなくてはならないのに、その有利性だけ、都合の良い部分だけをみて他を排除する思考の恐ろしさ」が訴えられています。
まだよくわからない部分が多い中、いい一面だけを見るのではなく、冷静になって違う一面もきちんと見る勇気と気持ちを持ちなさいという、このメッセージ。流行りものに飛びつく現代人への頂門の一針と言えるのではないでしょうか?
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