漆器とアレルギーの話
福田さんの10年使ったお椀は色も変わって、深みを増している |
子どもの場合も同じですが、特に家族の中に肌の敏感な方や反応しやすい方がいる時は、注意が必要。感覚的にも「漆でアレルギーを起こす」と強く思うことで、近づいただけでも症状が出ることがあります。例えば、バラの花でアレルギー症状が出る人は、バラの造花を見ただけでくしゃみが出る場合があります。基本的には、漆や漆科の植物に敏感な方でなければ心配はないのですが、気になる方は専門の医師と相談の上ご利用ください。
症状はなくても心配な方は、買ったばかりの漆器は製造の時期を確かめ、作って間もなければ3~6カ月経ってから使い始めるとよいでしょう。漆が付いた場合はシンナー、アルコール等の溶剤でよく拭き取って、さらに種油やサラダ油などの食用油を綿につけてよくふきとり、石鹸で洗い落とします。
かぶれてしまった場合は,かぶれがひくまで待つしかありません。特に、かきすぎて皮膚に傷を付けてしまわないように注意します。そしてかゆみがひどい場合は、早めに病院へ。
参考までに漆科の食品を掲載します。下記の食品でアレルギー症状が出る方は注意してください。
■Anacardiumアナカルディウム(カシューナットノキ)属
カシューナッツとして市販されています。果実の果皮を取り除いた種子を炒ったもの。脂肪やタンパク質に富み、ナッツとしてだけでなく、中華料理などの材料にも使われています。
■Mangifera マンゴー属
松脂のような独特の香りをもつマンゴーです。熟したものを食べたり、未熟なものはピクルスなどに。
■Pistacia ピスタキア(カイノキ)属
おつまみや菓子に利用されるピスタチオもこの仲間です。
■Sclerocarya スクレロカリア属
果実は枝についているときは青くて、地面に落下したあと黄色く熟し、ワインやリキュールもつくられている(「アマルーラ」など)。
■Spondias タマゴノキ(アムラノキ)属
果実の形が「スモモ」に似ていて、酸味が強く、ジャムやゼリーの原料となります。