白鳳伽藍の建物と仏像
■金堂
全国の人の写経によって再興された金堂
1528年に戦火で焼け落ち、その後、豊臣家が再建に取りかかる予定でしたが、豊臣家滅亡などの事情で400年近く仮堂のままの状態でした。1967年、当時の菅主(かんす。住職のようなもの)の高田好胤(こういん)師が百万巻写経勧進による金堂再建を提唱、全国に写経勧進に歩かれ、1976年4月に白鳳時代様式の本格的な金堂として復興しました。白鳳時代を代表する傑作仏像である薬師如来坐像、その脇待の日光、月光菩薩が祀られています。
※百万巻写経勧進薬師寺は、全国の人々に写経を勧め、その際に納めるお写経納経供養料によって、金堂をはじめとする数々の堂宇を再建してきました。この活動は今も続いており、玄奘三蔵伽藍の前にある写経道場で、いつでも写経が可能です。自宅で写経をして送付することもできます。薬師寺の伽藍再興に協力したい方は、ぜひ一度、お写経をしてみてください。
詳細はこちらをごらんください。
※高田好胤師
1967年から1998年まで薬師寺の管主を勤められた、たいへん著名な僧侶です。百万巻写経勧進による伽藍再興を進められただけでなく、広く一般に仏教を伝道されたことでも有名です。修学旅行の際、薬師寺で高田好胤さんの楽しいご説明を聞いたことがある、という方も多いことでしょう。今も薬師寺では、その伝統を受け継ぎ、お坊さんによる楽しくわかりやすい説明が名物となっています。
■東塔・西塔
薬師寺東塔。唯一残った白鳳時代そのままの建造物(現在、解体修理に入っています)
薬師寺西塔。昭和時代の再建だが、建立当時の色彩を表現している
・調査の為の足場が組まれる予定期間
2009年秋頃~2010年3月末頃
・解体修理が行われる予定期間
2009年から約10年間 2019年度完成予定
このような古い建物の解体修理の際は、木材ひとつひとつを細かく調べるところから始めるので、たいへん長い時間がかかります。薬師寺のお隣の唐招提寺の金堂も、先ごろ10年がかりの修復を終え、2009年の秋から拝観できるようになりました。薬師寺東塔は、2010年4月頃~2010年秋頃は、工事の覆いが外されて通常に拝観できますので、東塔と西塔を見比べたい方は、この期間中がチャンス! これを逃すと10年後になります。
■大講堂
2003年に完成した薬師寺の中でもっとも大きな建造物で、正面41m、奥行20m、高さ約17m。このお堂の落慶により、薬師寺の白鳳伽藍は、そのほとんどが再興されたことになります。内部には、白鳳~天平時代の作である弥勒三尊像が祀られています。
■東院堂
もともとは8世紀に建てられたものですが、後に焼失し、1285年に南向きで再建されました。堂内には、白鳳仏を代表する国宝 聖観世音菩薩が祀られ、四方を鎌倉時代の四天王像が守護しています。