母乳育児は赤ちゃんの命を救う!
生後6ヶ月までは完全母乳育児を。できれば2歳までは母乳育児を続けましょう |
出産後1週間くらいの間に出る母乳=初乳(しょにゅう)には栄養素や赤ちゃんの病気に対する免疫物質が豊富に含まれています。開発途上国で母乳だけで育てられた子どもは、人工乳や混合乳で育てられた子どもよりも、1歳まで生き延びる確率が約3倍も高いそうです。
しかし、現実には、東アジアと太平洋地域では生後4ヶ月の乳児の完全母乳育児率は61%、生後6ヶ月の乳児ではさらに低く、わずか35%にとどまっている状況。日本では、近年カンガルーケアを行う産院も増えてきているなど、初乳や母乳の大切さが再確認されつつありますが、世界ではまだ母乳育児が浸透しきっていないようです。
母乳は赤ちゃんにとって一番自然なもの。赤ちゃんが必要としている栄養分が充分に含まれています。できることなら、完全母乳育児――生まれてからの6ヶ月間、母親の母乳だけで乳児を育てること――が最良と言われています。また、生後6ヶ月の間、完全母乳育児を続けた後は、早い時期に断乳してしまうより、適切な補完食(離乳食)を食べさせながら、母乳育児を2年以上続け、自然卒乳を目指すことが、子どもの成長にとって最も適切な方法とされています。
母乳育児成功のための10カ条
ユニセフとWHOは母乳育児成功のための基準「母乳育児成功のための10カ条」を作成し、世界のすべての国のすべての産科施設に呼びかけています。また、この10カ条を長期にわたって尊守し、実践する産科施設を赤ちゃんにやさしい病院として認定しています(現在48施設)。母乳育児成功のための10カ条は以下の通りです。- 母乳育児についての基本方針を文書にし、関係するすべての保健医療スタッフに周知徹底しましょう
- この方針を実践する為に必要な技能を、すべての関係する保健医療スタッフにトレーニングしましょう
- 妊娠した女性すべてに母乳育児の利点とその方法に関する情報を提供しましょう
- 産後30分以内に母乳育児が開始できるよう、母親を援助しましょう
- 母親に母乳育児のやり方を教え、母と子が離れることが避けられない場合でも母乳分泌を維持できるような方法を教えましょう
- 医学的に必要でない限り、新生児には母乳以外の栄養や水分を与えないようにしましょう
- 母親と赤ちゃんが一緒にいられるように、終日、母子同室を実施しましょう
- 赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけの授乳を勧めましょう
- 母乳で育てられている赤ちゃんに人工乳首やおしゃぶりを与えないようにしましょう
- 母乳育児を支援するグループ作りを後援し、産科施設の退院時に母親に紹介しましょう