ベビーサインが育児を楽に!
ベビーサインについて日本で最初に書かれた『赤ちゃんとお手てで話そう』 |
なるほど。日本ではほとんど知られていなかったベビーサインですが、吉中先生がベビーサインと出会い、その後日本で広められたのは、どういうきっかけからですか?
吉中先生:
私が第一子を育てていたときに、主人のアメリカ人の友人がベビーサインで子育てしているのを知り、興味を持ったんです。赤ちゃんと手話でコミュニケーションできたら楽しいだろうなと思って。当時は日本語で書かれたベビーサインの情報は何もなかったので、アメリカのベビーサインの本を見ながら、主人と2人で勉強し、息子にも教え始めました。
実際にベビーサインを使って子育てをしてみたら、ベビーサインがすごく育児に役立つことがわかったんです。お腹が空いたら「おっぱい」と教えてくれるし、ボールで遊びたいなら「ボール」とサインをしてくれる。私も楽でしたし、子ども自身、泣かなくても気持ちが伝わることがわかって、私たちとのコミュニケーションを楽しんでくれるようになりました。
そんな体験を他の人にも伝えたくて、『赤ちゃんとお手てで話そう』という本を出版しました。息子がサインを出している写真とその解説をまとめたものです。その後、メディアに取り上げられるようになり、ベビーサインを体験したママたちの口コミを通じて、草の根的に広がっていきました。現在は教室で赤ちゃんとママにベビーサインを教えながら、一方でベビーサイン協会認定の講師育成もしています。
ベビーサインで広がるコミュニケーションの可能性
小さな手を一生懸命動かしてくれる、その仕草がとにかくかわいい! |
親子でベビーサインという共通のコミュニケーションツールを持つことで、お互いの伝わらないイライラが解消されるんですね。ここまでベビーサインが広がった理由は何だと思われますか?
吉中先生:
赤ちゃんがベビーサインをする姿って、かわいいんですよ(笑)。それが一番の理由だと思います。
ベビーサインで子育てしている人は「初めて我が子がベビーサインを出したときの感動が忘れられない!」と口を揃えて言うんです。コミュニケーションできる喜びというのは親子どちらにとっても嬉しいものですよね。ベビーサインがきっかけで、親子の絆が深まるのはもちろん、パパとママのコミュニケーションが増えたという話もありますよ。おじいちゃんやおばあちゃんも孫のベビーサインには頬が緩んでしまい、家族みんなで次から次へと教えるようになるので、コミュニケーション量も自然と増えていきますね。兄弟・姉妹がベビーサインで会話し合ったり、家族でコミュニケーションを楽しめるのが魅力だと思います。
生徒さんからは、赤ちゃんが「痛い」のサインを覚えていたことで、痛い思いをしたときに「痛い」と教えてくれて助かったといったお話や、「熱い」「危ない」などのサインで危険防止を伝えられたといった体験談が寄せられています。赤ちゃんがただ泣いていたら、気付いてあげられなかったかもしれませんね。