ガイド:
ところで、皆川さんはお若く見えますが、伊東屋さんに入社されて何年目になるのですか?
皆川さん:
3年目です。
と言いましても年齢は現在30才です(笑)。大学院を卒業してから伊東屋に入社しました。そして入社以来ずっとこの万年筆売り場を担当しております。
子供の頃、父親の万年筆をこっそりいじって、壊して怒られていました。
ガイド:
皆川さんはもともと万年筆がお好きだったのですか?
皆川さん:
はいそうです。大学院時代の論文は、いきなりパソコンに打つのではなく、必ず草稿は万年筆で書いていました。そもそも私が万年筆に興味をもつきっかけとなったのは、父親がすごく万年筆好きだったことが大きかったと思います。子供の頃、父親の万年筆をこっそりいじって、壊してしまい怒られていたのを今でもよく覚えています。
ガイド:
では、早速皆川さんが愛用されている万年筆を見せていただけますか。
ブラックの革ケースの中から次々出される万年筆。 |
皆川さん:
今回は、全部を持ってこられませんでしたので、特に気に入ったものだけを持ってきました。
ガイド:
何本くらいお持ちなのですか?
皆川さん:
正確に数えたことはありませんが、おそらく100本くらいはあると思います。
例えば、これは「中屋万年筆のシガーモデルの黒溜め」。これにはボディカラーにあわせて赤のインクを入れています。
中屋万年筆 シガーモデル 黒溜め |
そして、こちらが「ラミーの99」。今のラミーと違うデザインに惹かれて、海外でヴィンテージとして買ったものです。このペン先はEF なのですが、海外のものにしてはかなり細めで、その点も気に入っているところです。しかも吸入式でインクの残量が見える窓が楕円形をしています。
ラミー99。どことなく往年のパーカーの面影も。 |
天冠にはラミーの「L」マーク。 |
それから、これはとっておきの一本なんですが、「アーナー・アレン・ウォーターマン」という万年筆です。
エボナイトが自然に焼けた深いグリーン色になっている。 |
通称 「A.A.ウォーターマン」とも呼ばれています。ウォーターマンとは言いましても現在のウォーターマン(L.E.ウォーターマン)とは全くの別会社です。同じアメリカということで、当時は市場でよく間違えられたそうです。ですのでこの「AAウォーターマン」のペンには、「Not connected with L.E.WATERMAN co.(これはL.E.ウォーターマンとは関係ありません)」とご丁寧に刻印したものもあったそうです。
A.A.WATERMANとボディに刻印されている。「PATENTED」の文字も見える。 |
残念ながら、ペン芯にひびが入っていて書くことはできない。 |