ひと目見てわかるデザイン
ヨーロッパのペンにおいても、そうした傾向がある。そういう意味で言えば、カランダッシュは鉛筆のような6角軸のフォルムが1つのシンボルになっている。
今回は6角軸を温かみのある銀で包み込んだ愛着のわくペン。
カランダッシュのエクリドールシェブロンのシャープペン。
スイスの老舗ペンメーカー
カランダッシュ社の始まりは、1924年に企業家のアーノルド・シュバイツァー氏が経営不振に陥っていた「エクリドール鉛筆製造所」を買収し、「カランダッシュ鉛筆製造所」として再出発させたのがそもそものきっかけ。カランダッシュという社名の由来は、シュバイツァー氏が当時傾倒していたパリの風刺画家エマニュエル・ポアレ氏が別名としてつかっていたカランダッシュからとったもの。ちなみにカランダッシュとは、ロシア語で鉛筆という意味。
今も残るアーティスティックなカランダッシュのロゴマークは画家エマニュエル・ボアレ氏のサインを使ったものだという。
カランダッシュというと滑らかなボールペンを思い浮かべるところだが、シャープペンの原型でもあるクラッチペンシル。芯ホルダーといったほうがわかりやすいと思うが、実は世界で始めて芯ホルダーを作ったのがカランダッシュ。さらに水彩鉛筆もカラダッシュが初めて作りだした。
カランダッシュは鉛筆とは切っても切り離せない関係にある。
鉛筆をモチーフにしたフォルム
鉛筆より多少太めの6角軸 |
このシリーズには、胴軸に施されている彫刻の模様ごとにシェブロン、レトロ、マヤといったラインナップが用意されいる。私は、矢印のような模様のシェブロンを購入した。
手にしたものだけが鑑賞できる精緻な彫刻は、デザイン性ということだけでなく握りやすさという点でも一役をかっている。馴染みのある鉛筆の6画軸のおかげだろうか、握ったときにしっくりと手に馴染む。
全体的にとてもすっきりした印象を与えているのは、つなぎ目のない胴軸のためだろう。ペン先も含めて1つのパーツで構成されているにもかかわらず、ペン先のがたつきたまったくみられない。高品質へのこだわりはこんなところにも見え隠れしている。胴軸が1つパーツというシンプルな構成は、故障が起こりにくいという実用面での利点もある。
まさに、永く愛用できるデザインであり、機能だ。
銀の風合いを愉しむ。
手にしてみると、ひんやりとした冷たさはなく、むしろ心なしか温かみすら感じる。ボディ全体に施された銀のおかげだろう。銀がふんだんに使われているが、見た目の重厚感ほどの重さは感じられない。筆記に適した重量感だ。6角の各面には繊細な彫刻が施されている |
単に、国の基準され守ればいいいということではなく、本当の意味でいいものを提供したい、自分たちが納得いくものだけを提供したいというカランダッシュ社の高品質へのこだわりを感じる。
カラダッシュのペンの多くはシルバープレートの上にさらにロジウムプレートも施されている。このロジウムプレートがあることで、銀特有の黒ずみを抑えてくれるという効果がある。
実は、私の所有しているペンは、シルバープレートのみで、ロジウムプレート加工のないレアものなんです。私は、銀ならではの使い込んだ黒ずみがとても好きなので、あえてロジウムプレートなしを手に入れた。
まだ、使い始めて間もないので、黒ずみはないが、じきに出てくるであろう使い込んだ証をひそかに愉しみにしている。黒ずんでも、磨き上げれば、再びシルバーの輝きがもどってくる。1本のペンで2つの愉しみがある。
スイスの伝統と職人技がふんだん盛り込まれたペン。いつもがんばっている自分へのご褒美にぴったりな1本となるだろう。
■ カランダッシュ エクリドールコレクション シェブロン シャープペン・ボールペン 12,600円 |
<関連リンク>
「ここぞの時に使いたいボールペン」のリンク集
カランダッシュのオフィシャルサイト(英語)