肉面を起毛させるスエード・ベロア!

スエード
フワッとした感触が特徴のスエードは、革の肉面を起毛させたものです。銀面を残して鞣さてたものは、見た目に比べ耐久性が遥かに高く、カントリーシューズのアッパーに多用されるのも納得!


起毛系の牛革の中で、誰しもが最初に思い出すのは、恐らく「スエード」でしょう。皮を鞣した後、生きていた時は裏側になっていた面=肉面を起毛させて仕上げた革のことをこのように呼びます。この加工法を開発したのは、どうやら北欧のスウェーデンでらしく、この国をフランス語で表記した”Suede”が語源となっているようです。

一方、これと暫し混用されるものに「ベロア」という革があるのをご存じの方も多いでしょう。このベロアも、製造方法に関してはスエードと原則変わらず肉面起毛の革で、また呼称の起源も同じくフランス語です。妖艶な光沢を魅力とする生地であるベルベットに、質感が一応似ているせいか、それを意味する”Velour”がそのまま革の名前にも採り入れられました。

ではこの2つの一体何が違うのか? どうも日本以外では表記は前者で統一されているようですが、我が国の場合は一言で申せば、質感の違いで用語を使い分けていると考えて宜しいかと思います。前者の名は、カーフスキンなど原皮が薄くて柔らかなものに対して暫し用いられ、毛足を短くキメも細かく仕上げる傾向が強いです。またスエードでは、革の組織で一番丈夫な銀面を残した上で鞣されるケースが主流なので、見た目に比べ案外丈夫です。イギリスのカントリーシューズのアッパーに、この素材が暫し用いられる一番の理由はそれであって(一番丈夫な銀面が裏になる=銀面には外から傷が付き難い)、決して見た目の雰囲気に合っているからだけではないのです。

それに対して後者の呼称は、ステアハイドなど比較的厚めの原皮を用いた際に主に使われ、前者に比べ毛足も長くキメも粗く仕上げる傾向にあるようです。またベロアの場合は銀面を残さず、つまり革を薄く漉いた後に残った肉面組織を活用して、表も裏も肉面となるように鞣されるケースもあり、これを特に「床ベロア」と称します。床ベロアは柔軟なものの耐久性には乏しい為、靴のアッパーに用いる際には樹脂で裏打ちするなど、更なる補強策を施して用いる場合が専らです。


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