「靴の肋骨」を掘り下げてみます!
普段はほとんど気が付きませんが、靴紐にも様々な種類のものがあります。そしてその選び方次第で靴自体のフィット感が随分変わってしまうことも、あまり知られていないのが実情です。 |
なけなしのボーナスを全てつぎ込んで、夏休みと年末年始に海外の美術館やコンサートホール巡りの貧乏旅行ばかりしていた今から十数年前のこと。旅先であるロンドンの街中で、足に微妙な違和感を覚えた瞬間がありました。んっ? ふと足元を見ると履いていた靴の紐が切れている。
あれっ? 朝に紐を結んだ時は、全く異常が無かったんだけどなぁ…… 下駄の鼻緒じゃないけれど、靴紐も切れると足も心も居心地が宜しくない! 取り急ぎ近くにあった特にどうってことのない靴店に入り、そのブーツに合いそうな靴紐を1組無作為に買い求めました。その場で結び上げ街に再び戻り暫くすると…… 驚いたことに以前の靴紐が正常の時よりフィット感が格段に良くなったのです。それまでの靴紐は断面が丸くてやや細いものだった一方、今回のは断面が平らでかつ気持ち太いせいか、甲部の押さえが以前よりしっかり効いています。
日頃はあまり関心の向かない小さなパーツながら、履き心地を意外なほどに左右する靴紐の重要性を、ひょんな事から知ることになったわけですが、似たような経験をされた方、読者の中にもいらっしゃるのではないでしょうか。えっ、そんなこと意識すらしていなかったって? でしたら折角ですから、これを機にどうか気付いていただきたい! 通す形状から肋骨にも例えられる「靴紐」について、今回はお洒落の面だけでなく様々な角度からじっくり探ってまいります。
次のページでは、靴紐を選ぶ際に一番肝心なことについて!