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ガジアーノ&ガーリングの靴、日本上陸!(2ページ目)

2006年10月にデビューをお伝えしたガジアーノ&ガーリングの靴が、早くも日本上陸を果たしました。先日行われたオーダー会に早速足を運び、その魅力を改めて探ってみました。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド


多彩な経験が可能にした、複眼で突き詰めた靴

側面から
これはガジアーノ&ガーリングのトラディショナルラウンドラストを用いたフルブローグ”Rothschild” 。全体のシェイプのみならず、特に踵周りの造形にご注目あれ。


どうこう申し上げるより具体例をお見せしましょう。上の写真をご覧下さい。特に注目していただきたいはヒールの周辺です。ヒールそのものが既製靴とは思えないほど小さいだけでなく、アッパーの最後端、踵を包み込む「ヒールカーブ」と呼ばれる線と、ヒール後端の斜めの線が見事に「逆『く』の字状」に連続しています。

さらにアッパーのヒール部を包む:●:●:●のブローギングとヒール前端の線も、綺麗に繋がっています。このように非常に手間の掛かる芸術的な処理は、本来はビスポークでしか望めません。他の著名な既製靴では、彼らより高い価格を付けていてもこのあたりの処理は大抵無頓着で、アッパーとヒールの線が断絶しているんですよ(お持ちの方はチェックしてみて!)。他にも好例は沢山あるのですが、ベンチメイド・パターンオーダーであっても彼らの靴には、デザイン上も妥協が全くなく、ゆえに綺麗に見えて当然なのです。

この「妥協のなさ」は、彼らの他に類を見ない経歴に依る所が大きいかと思います。トニー氏はデザインの面からまず既製靴の世界に入り、そこで見え方・見せ方の重要性を十二分に習得した上で、ビスポークの靴作りに本格的に関わるようになりました。一方ディーン氏は、ビスポークの靴作りにおいて品質全般の決定打ともなる、ボトムメイキング(底付け)で非常に多くの経験を積んできた人物です。双方の得意分野を立体的に活用し、ビスポークとベンチメイドの間に垣根を設けず、複眼で靴作りに取り組んでいる成果が、輪郭に表れているわけです。

「ビスポークのデザインは、特定の顧客にベストなものを一発で描かなくてはいけない。ベンチメイドのデザインは、多くの人が満足できるよう日々進歩させてゆかなくてはいけない。どちらも大変難しいが、どちらも手掛けられるのは大変嬉しい。双方から応用できるものが、沢山あります。」
トニー氏はこう話してくれたのですが、このブランドのかつてない存在感を、端的に示してくれているコメントのような気がします。

次のページは、「高次元に融合した、伝統と感性」です。
詳細情報も最後に載せてあります。
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