かねがね日本人の感性はすごいと思っていて、コーズの増田啓晃なんかはその好例。「ローク」にエアクッションソールの靴をつくらせて、ファッション業界をあっと言わせたのが彼なのだ(今度の秋冬ではスターメダリオンというメダリオンが星の形をした新作を出します。増田さんの新作紹介は次回)。
で、今回はドレスシューズ・ブランドに絞って秋冬コレクションを紹介。
●アルフレッド・サージェント
アルフレッド・サージェントといえばイギリスの老舗メーカー。このメーカーに、木型からつくらせたのがインポーターの森本直紀だ。スーツでも履けるカントリーが欲しい-でつくっちゃったのがこれ。ひな形になったのは、ハードなモノ作りで熱烈なファンをもつアメリカの「ホワイツ」。トウ回りのボリューム感、大きくウチに振ったラスト、張り出したコバ…どれをとってもワークブーツのディテールだが、1足の靴として仕上がったときには確かに上品さが漂う。
で、写真はコードバン使いの新作。コードバンは靴好きなら先刻承知の、皮革の中で最上級とされる馬のお尻の革。この色気、わかりますか?
(問)タイム・アンド・タイドTEL.03・3876・0041
●エトスクラブ
色気のあるビスポークシューズで知られるエトスクラブ。代表の小松義照は「男のダンディズムとは」なんてアツく語ってしまうおじさんですが、レディス・ラインも充実してます。
写真はプレタ・ラインの新作。こーゆー女性のための本当にきれいなドレスってなかったでしょ。で、よく見て欲しいのがつま先のライン。外に向ってなだらかな傾斜を描いているのがわかりますか? 1年の試行錯誤の末に完成した木型で、シャープなフォルムを維持しながら足なりの形ってありそうでなかったものなのです。
この新作は、ダーバンなどで販売が決まっているそうです。
(問)エトスクラブTEL.03・3257・0805
●ダイタ・バイ・トリッカーズ
トリッカーズのカントリーブーツはいつかは僕も欲しい1足ですが、このメーカーとコラボってオリジナルをつくらせたのが木村大太。木村は高校卒業後、単身イギリスに乗り込み、現在は手製靴「ダイタ・キムラ」を展開するほか、イギリスの工場でプレタ・ラインの製造もしている。新しいところではポルトガルの「スウェア」の新ブランド「ブダフッド」でデザインを任されている。
この木型、折り返したUチップの縁などの凝ったディテール、う~ん、面白い。レディス有り。
なんか今回はいたるところに木型って専門用語が出てくるけど、木型は平面の革を立体にするときに欠かせないもので、靴の生命線。履き良さもフォルムの美しさも、すべて木型で決まってしまうといって過言ではないほど重要なファクターなのです。
(問)ジャック・オブ・オール・トレーズTEL.03・3470・0990
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