良いスーツの見分け方
良いスーツの見分け方
非常に難しいテーマです(笑)。良いスーツの基準などはファッション雑誌でアレコレ書いてあって、なるほどと思うのですが、ショップや百貨店ではラックからスーツ(既製スーツ)を取り出してじっくり見たり、買う気もないのに試着するのってけっこう勇気が入ります。
ラックに吊るされている状態で瞬時に見分ける方法を知っておくと、意外と役に立ちます。買うかどうか迷っている場合は絶対に着用すべきですが、冷やかし程度ならスマートにチェックしたいものです。参考画像。 |
まあ、店員さんと親しくなれば問題ないんですけどね……。初めて入ったショップで裏地の隙間から手を入れて芯地を取り出して確認するなんて、まず道徳的に許されません(笑)。
ましてやパンツをひっくり返してシック(股下の補強布)を見たり、テーブルに置いてパンツのS字カーブを確認するなんてほとんど不可能です。銭湯でスニーカーを洗うのと同じくらい恥ずかしいです。そういえば昔、大阪の銭湯で洗っている奴がいたなあ~(懐)。
良いスーツを見分けるには、ヒゲとアゴぐせに注目
リングヂャケットのスーツもヒゲがあります。私物。 |
ラックに吊るしてある状態で良いスーツか判断する方法は、まずラペルをめくって裏側をチラッと見ることです。そこに隠されているのが「ヒゲ」と「アゴぐせ」です。
ヒゲというのはラペルを直せるようにテーラーが考案した仕様で、既製スーツの場合はほとんど関係ないのですが、縫製にこだわっている証にこの仕様にしているブランドは意外と多いです。なのでヒゲ=縫製にこだわっているぞ、という信号を発している仕様です。
1本ダーツが入っているのがアゴぐせです。少し前のバタク ハウスカットの既製スーツ。私物。 |
アゴぐせはラペルの下に隠れたダーツで、胸にボリュームを出すときに採用することが多いです。ハト胸の人にも向いている仕様です。
フルオーダー(ビスポーク)ではよく見かける仕様ですが、既製スーツではかなり少ないです。既製スーツを展開していた頃のバタク ハウスカットのスーツには入っていました。胸のドレープを綺麗に出すためだったのでしょう。
もしアゴぐせが入っていたら、縫製やシルエットにこだわっている良いスーツという強烈な信号を放っていることになります。
トゥモローランドのスーツもヒゲがあります。私物。 |
あと、少し慣れないとわかりにくいですが、ボタンホールとステッチが手仕上げかも見分ける方法です。ラックから取り出さないで、横から判断するにはこれが限界でしょう(笑)。
正面から見る機会があれば袖の落ち方やラペルの立体的な返りなどをチェックできます。羊屋のスーツ。私物。 |
もしハンガーに吊るした状態で正面から見ることができたら、袖の落ち方を見てください。まっすぐにストンと落ちているものより、前方に少しカーブしているほうが良いスーツです。
フルオーダーの場合はアイロンワークでこの処理を行いますが、既製スーツの場合はアイロンワークでないにしろ、少し弧を描いている袖が理想的です。
ラペルの返りが立体的かどうかなど、正面から見るチャンスがあればさらに情報が得られます。まずはラペルをひっくり返してみてください。
※パターンオーダースーツの場合・・・アゴぐせをつけないスーツも多いようです。というのもアゴぐせの場合は、胸にボリュームが必要なら付けるし、必要がなければ付けないからです。
ちなみに銀座のヴェスタでオーダーしたスーツにはありませんでした。電話で確認したところやはり必要なかったからとのこと。
しかしヴェスタの縫製は他社製品を凌駕しているところも多く、本当に良いスーツです。なので、アゴぐせは既製スーツにおいてのひとつの目安としてとらえてください。
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