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英国服地の聖地 ハダスフィールドの名門ミル(2ページ目)

最近注目されている英国服地。その生産地として有名なハダスフィールドで創業を続けるミル、テーラー&ロッヂ。名門ミルをとおして、英国服地の魅力に迫る!

倉野 路凡

執筆者:倉野 路凡

メンズファッションガイド

ホルム川の軟水が最適


ホルム川
工場のそばを流れるホルム川。服地の生産には理想的な軟水なのだ。
さて、織り上がったばかりの生地はかなり粗く、とても綺麗と呼べるものではない。

そこで表面を仕上げていくのだが、同社では水道水(硬水)は使わずに、工場のそばを流れるホルム川の水(軟水)を汲み上げて、洗濯水として利用している。


ホルム川の軟水を利用
工程によってはホルム川の軟水を利用している。それにしてもこのスチーム、なんともレトロ!
軟水だと羊毛を洗ってもゴワつくことがなく、しなやかな風合いになる。理想的な水質の川の近くに、幾つかのミルができたのも納得がいく。

この川の水を、煮絨(しゃじゅう/湯のしともいい、お湯でのして詰まらせ、服地を安定させる)や、洗絨(せんじゅう/汚れを落とす工程で、同社では天然の石鹸を使用する)などの各工程に使っているのだ。


艶出し


ペーパー・プレス
少量生産を守り続ける英国のミルでは、手間と時間のかかるペーパー・プレスを行っている。
高級服地に見られる工程がペーパー・プレスという艶出しの工程で、電熱線の通った厚紙の間に生地をはさみ込む。

熱と圧力を一定時間(一晩寝かせる)加えることによって生地の表面に自然な艶と、コシを与えることができるのだ。すべて手作業で行われるため、かなり効率の悪い工程である。

その後、数回にわたって厳しい検品が行われ、合格基準に達したもののみ出荷される。


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