落合正勝さんの本
『クラシコ・イタリア礼讃』落合正勝(世界文化社刊) |
『落合流、お洒落術。』落合正勝(世界文化社刊) |
名著『クラシコ・イタリア礼賛』では、氏が身銭を叩いて買い集めたクラシコ服を詳細に分析し、さらに自らの足でイタリアのサルトを取材してその本質を探り出します。クラシコとはクラシック=古典ではなく、最上級の普遍をあらわす言葉。エレガンテとは単なる優美ではなく、様式美を伝える表現であること。スーツという決定的に完成された服が、男をもっとも美しく魅せることを教えてくれます。
『落合正勝 私の愛するモノ、こだわるモノ。』落合正勝(世界文化社刊) |
落合氏の服飾に関する著書は全20冊。90年代に書かれたものがほとんどです。服飾評論家としてデビューする以前は、ただのクラシコ・イタリア服好きのお洒落なオジサンでした。しかし、コレクターともいえる膨大な服を実際に自分で買い、着続けてきたことの圧倒的な説得力があることは誰もが認めるところなのです。
片瀬平太さん、池田哲也さんの本
『ナポリ仕立て―奇跡のスーツ』片瀬平太、池田哲也著(集英社) |
この本は、イタリア・ナポリのサルトとブランドに焦点をあて、これまで統一的な視点のなかったナポリの仕立て服についてまとめたもの。服飾史の教科書としても有益な一冊です。ルビナッチやアットリーニなど日本でも知られたサルトだけでなく、ナポリを一歩も出たことのない多くの職人が取り上げられ、仕立て服の過去・現在・未来について語られています。
ナポリスーツがもてはやされるようになったのはここ数年ですが、すっかり本家英国を凌駕する人気を確立しました。初めの頃こそ日本人にこれまで馴染みのなかったスタイルだけに、モノ珍しさが勝っていたのでしょうが、今では立派にイギリス、ミラノ、ナポリは3大スーツとして認知されています。紳士のイギリス、国際派のミラノ、そして個性を際立たせるナポリ。スーツの奥深さと面白さ、そしてファッションとしての愉しみ方を知るための良書として、こんな本を手に取ってみるのも一興です。
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