街中では“高級な硬めのCTS”
“V”はキャデラックブランドのハイパフォーマンスモデルに冠される名称 |
最高出力564psを誇る6.2リッターV8スーパーチャージャーエンジンを搭載 |
インテリアも硬派。ノーマルのラグジュアリーな面影は微塵もない。このクラスのサルーンにバックスキンのステアリングホイールはいかにもミスマッチだけれども、モノトーンだがキラキラと光沢系でまとめられたインテリアにおいて、心臓部のどう猛さをアピールし、走りへの期待と直結する唯一のアイテムとして、大きな存在感をみせている。
「これに毎日乗るのは辛いかも」とはじめは思っていた。なにせ、556psである。懐具合や免許の行末もさることながら、都内デイリーユースではtoo muchなエンジンパワーで、とてもじゃないが乗りこなせるという気がしない。
結論から言うと、それはまったくの杞憂に終わった。アクセルペダルを強引に踏み込まない限り、ライドフィールは“ちょっと硬いCTS”に終始する。もちろん、マグネティックライドコントロールは“ツーリングモード”。これをスポーツにしてしまうと、日産GT-R級に“胃に響く”突き上げを喰らうから要注意。
スーパーチャージャーゆえ、比較的低い回転域(2000rpmくらい)から“ヒュルルルルル”という作動音が聞こえだす。それ以上踏み込まなければ暴力的な加速には至らず、いたって静かに淡々と走る。なんといっても、6000cc以上あるのだ。日本の制限速度内ならば、1500回転で、かたがついてしまう。その帯域からあえて踏み出しさえしなければ、街中ではあくまで “高級な硬めのCTS”として振る舞うのだった。
高速域の走りについては次ページで