フラットトルクな1.2Lターボエンジン
ベーシックな「トゥインゴ」には、1.2LのNAエンジンに、「クイックシフト5」というAMT(2ペダルMT)という組み合わせとなりますが、「トゥインゴGT」には、同じ排気量の1.2Lエンジンには小径ターボチャージャーが追加され、トランスミッションには5速MTが与えられます。その他、内外装や装備などもけっこう違います。
1.2Lターボエンジンは、極めてフラットトルク。スペック的にもそうですが、1.5~1.6LぐらいのNAエンジンのような印象で、あまりターボっぽさを感じさせません。低回転域からトルクが十分に出ていて、全域で扱いやすい性格です。
さらに、2、3、4速にシフトした状態でエンジンを4500rpm以上回したときにはオーバーブーストの制御が入り、よりパワフルで刺激的なフィーリングを楽しめます。ちなみに欧州では、さらにホットな133psの1.6LのNAエンジンを搭載する「トゥインゴ ルノースポール」もすでに発売されているそうで、そちらも気になるところです。
フットワークは、このサイズのクルマとは思えないほど、ドッシリとした印象があります。しかも、ステアリングの操舵力は軽く、軽快な走りの中にフロントタイヤの接地感はあるし、リアのスタビリティも高いという、独特の感覚です。相対的に重心の高いクルマですが、高速巡航時はちょっとノイジーながらも、走りの安定感は非常に高く、乗り心地も快適に保たれます。このあたり、さすがは欧州の雄のひとつであるルノーらしい仕上がりで、日本車も見習うべき味があるといえるでしょう。
価格は240万円と、マーチ12SRやスイフトスポーツなど、コンセプトを同じにする日本車を引き合いに出すと、だいぶ高め。また、このクルマが「GT」を名乗ることには、正直ちょっと物足りない気もするし、そもそも車名がトゥインゴであることにも、必然性がなかったように思えます。
それでも、ユニークなデザインや、フレントホットハッチらしい乗り味もそうだし、シートの出来や、室内の使い勝手にも独特の工夫がみられるなど、「なるほど!」と思わされる部分が多々あります。MINIに比べるとはるかに実用性は高く、小さくても、ファーストカーとしても十分に使えるクルマです。
トゥインゴは欧州では非常にメジャーな車種ですが、日本では個性的な存在となるでしょう。どこか「刺さる」部分があれば、ぜひ興味を持って欲しい1台だと思います。
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