速さを追求する本格スポーツモデルにオプションで設定
縦横のサイズを従来の鉛バッテリーと同じに設定したことで、互換性を持たせたポルシェのリチウムイオン・バッテリー。ただし、高さは約70mm低く、重さは10kg以上も軽い |
リチウムイオン・バッテリーといえば、身近なところでは携帯電話やデジカメなどに使われており、家電の分野ではすでにお馴染みです。自動車でも先日発表されたメルセデスベンツのハイブリッドカー、S400ハイブリッドで市販車として初めて実用化され、今後はトヨタのハイブリッドカーなどでも採用が予定されています(ただし、プリウスなどのハイブリッドの場合、補助バッテリーとして鉛バッテリーを搭載)。
徹底して軽さを追求したボクスター・スパイダーのコンセプトに、この軽量バッテリーは最適な組み合わせだ |
もともとリチウムイオン・バッテリーには、鉛バッテリーに比べてコンパクトなサイズでも、より大容量の電気を蓄えられる上に、バッテリー自体が軽量であるというメリットが挙げられます。ポルシェがリチウムイオン・バッテリーを採用したのも、まさにその軽量性が狙いです。それゆえ極限の速さを求めるスポーツモデルのみの設定となるわけです。
ポルシェのリチウムイオン・バッテリーは、縦横のサイズは従来の鉛バッテリーと同じサイズながら、高さは約70mm低く設計されています。これは従来のバッテリーとサイズ的な互換性を持たせることで、必要なときにはすぐに交換できるように考えられてのものでしょう。バッテリー自体の重量は、従来よりも10kg以上軽量な約6kgという軽さを実現しています。
フロントトランクの高い位置に搭載されるバッテリーの軽量化は、運動性能の向上に効果的だ |
ただし、このリチウムイオン・バッテリーのオプション費用は、新車購入時の価格で1904ユーロ(邦貨換算約25万円)。すでに購入したクルマに後から装着する場合は、2499ユーロ(同約34万円)と非常に高価です。このコストの高さこそが、リチウムイオン・バッテリーの最大のウィークポイントとなっているのですが、実は軽さ以外にもそのメリットがあるのです。
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