徹底して軽さを追求したボディ構造
|
F1と同じカーボン製の骨格を採用したことで、同形状のアルミボディと比べて100kgもの軽量化を実現した |
LFAの開発で最もこだわった部分といえるのが、ボディ剛性の確保と軽量化を高いレベルで両立した点です。通常、ボディの剛性を高めるためには、分厚い鉄板を使ったり、各部に補強を追加するなど、重量増は避けられません。そこでLFAでは、車体骨格にCFRP材(いわゆるカーボン)を採用することで、軽量化と剛性の確保という相反する要素を高いレベルで両立させています。
この手法は、F1などのレースのトップカテゴリーでのみ採用されている技術で、市販車では先日生産が終了したメルセデスベンツのスーパーカー、SLRマクラーレンが採用したことでも有名です。そんな最先端のボディ構造は、豊田自動織機のブースで見ることができます。丸ごとカーボンで造られたフロアなどというものは、そうそうお目に掛かれるものではありませんので、ぜひお見逃しなく!
|
軽量化と高剛性の両立を狙って、サスペンション・メンバーもアルミ製で製造される |
シャシーに関しては、フロントがダブルウィッシュボーン式、リアはマルチリンク式が採用されていますが、各サスペンションアームやパワートレーンが搭載されるメンバーも、軽量性と高い剛性の確保を狙った設計が施されています。その製造を担当するのは、アルミホイールなどの生産で実績を持つ光生アルミニュームで、ホイール開発で培ったアルミ加工の技術を活かして、LFAのサスペンション・メンバー製造を手掛けます。
|
徹底した軽量化は、ヘッドライトの設計にまで及ぶ |
また、細かい部分では、ヘッドライトでも軽量化を追求した設計が施されています。LFAのヘッドライトを開発した小糸製作所のブースには、ヘッドライトの単体が展示されていますが、レンズやボディ、点灯制御装置に至るまで徹底した軽量化が施された結果、従来比30%の軽量化が実現されていると説明されています。LFAでは、最新のLED式ではなく、あえてHID式を採用しているのも、軽量化を追求した結果と考えられます。
フロント48:リア52の最適な前後バランスを追求した駆動系レイアウト
|
LFAではフロントにエンジンを、リアにミッション+デフを搭載するトランスアクスルを採用 |
次にLFAの駆動系の基本構造についてですが、これはアイシンのブースに展示されている駆動系コンポーネンツを見れば一目瞭然です。LFAでは、フロントにエンジンを搭載し、後輪を駆動するFR方式をベースとしていますが、ミッションはボディの後方にデフと一体になって組み合わされています。GT-Rでも同様の方式が採用されていますが、これを「トランスアクスル」方式といいます。
トランスアクスルとすることの最大のメリットは、ミッションを後部へ搭載することで、重量物がフロントまわりに集中することを避け、前後の重量バランスを適正に振り分けることができる点にあります。車両前方に搭載されたエンジンと後部のミッションは、トルクチューブと呼ばれる強固なパイプで繋がれ、その中をいわゆるプロペラシャフトが通って駆動力を伝える働きをしています。
|
ミッションは、シングルクラッチ方式ながらも、ツインクラッチに匹敵する変速スピードを実現した6速ASG |
ミッションについては、一般的な6速MTをベースにクラッチ操作を自動化させた6速ASG(オートメーテッド・シーケンシャル・ギアボックス)が採用されます。クラッチはいまや高性能スポーツカーには欠かせないツインクラッチ方式は残念ながら採用されませんでしたが、シングルクラッチでも最速で0.2秒という変速スピードを実現していますから、事実上はほぼ問題のない性能といえるでしょう。この他にも、アイシンのブースには、最新の電子制御ブレーキシステムなど、LFAに採用される先進技術が紹介されており、見所が満載です。
モーターショーというと華やかなコンセプトカーやニューモデルにばかり注目が集まりがちですが、こうして各パーツごとの成り立ちを見てゆくと、実はそうしたクルマたちも様々な部品メーカーの協力があって初めて完成するということが分かります。あまりにお目当てのクルマが多すぎて、一日では見切れないくらい盛りだくさんなショーも楽しいですが、今回のように落ち着いて見られるときには、じっくりと腰を据えて細かい部分にまで目をやってみるのも一興だと思います。