ハブリングは社外ホイールをセンターに固定するためのパーツ
ハブリングはホイールのセンターホール径、クルマ側のハブセンター径に合わせて選択する必要がある |
では、なぜこうしたパーツが必要になるのでしょうか? もともと純正のホイールでは、ホイール中心に空いたセンターホールがクルマ側のセンターハブとピッタリと一致するように作られています(中には例外もありますが……)。そのため、ホイールをハブに乗せた時点である程度正確にホイールがハブ面のセンターに取り付けられるようになります。
こちらは製品に添付されていた資料。ハブリングはこのようにハブとホイールの間に取り付ける |
ところが、社外ホイールの場合、ほとんどがホイールのセンターホールが大きく開けられているため、クルマ側のハブセンターに合わせようとするとブカブカで全く合いません。これはクルマ側のハブセンターの径がメーカーや車種によって異なるため、あらかじめ大きめに穴を開けておくことで、多くのクルマに装着できるようにと考えて設計されているからです。
ただし、社外ホイールでは、60度テーパーナットが採用されることが多く、ナットを均等に締め込んでゆけば、多くの場合、しっかりとセンターが出る構造となっていますが、ホイールの種類などによっては、アバウトにナットを締め込んだだけでは、しっかりとセンターが出ず、ナットが緩みやすかったり、走行時に振動(シミー)が発生するケースもあるようです。
そんなときに、ホイールのセンターホールとハブセンターの隙間を埋め、ホイールをハブの中心にセットしやすくなるハブリングが有効になる、というのです。
基本はテーパーナットを均等に締め込んでセンターを出す
ハブリングを実際に装着してみたところ。確かにホイールをセンターに合わせやすくなる |
ホイールをしっかりハブのセンターに合わせるのは、やはりナット(もしくはボルト)の役目なのです。ハブリングを使って、あらかじめホイールをセンター近くにセットすることも確かに有効ではありますが、最終的にはしっかりとナットで締め込むことが重要なのです。ハブリングを使わないとナットが緩みやすかったり、振動が出るというのなら、ナットの締め方を見直してみると改善することもあるかもしれません。
ホイールを正確にハブのセンターにセットするには、まず各ナットを手で回るところまで締め込みます。そこからトルクレンチを使って、規定値の半分くらい(国産車であれば約50Nm)のトルクで締め込み、次に2/3のトルク、最後に規定値で締め込むというように、徐々にトルクを掛けてゆくイメージで行います。締め込む順番は、セオリー通り対角のナットを交互に締め込みます。手間はかかりますが、こうすることでより正確にハブの中心にホイールをセットできるのです。
ハブリングを取り付ける場合、固着に注意
金属製のハブリングを使った場合、このようにハブ側にリングが固着する危険性もある |
ハブリングは、センターホールの大きい社外ホイール用に設計されているため、基本的には純正ホイールにはまりません。無理に装着しようとすれば、ホイールやハブボルトに負担を掛けてしまいますし、ハブリングが残っているのを気づかずに純正ホイールを装着して走行すると、最悪はホイールが脱落する危険性もあるのです。
そのため、ハブリングを装着する前には、ハブ面のサビをきれいに落とすなどの対策はもちろん(それでもハブは錆びるものですが)、定期的なメンテナンスも欠かせません。また、どうしてもハブリングの固着が心配というなら、樹脂製のハブリングを装着するというのも手です。耐久性という面では、金属製(主にアルミ)にはかないませんが、サビで固着する心配はありません。
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