カーメンテナンス/車のトラブル

レースであったちょっと怖いE/Gトラブル

なんだかエンジンの調子が悪い、と思って、ヘッドカバーを開けてみると、バルブまわりの部品が外れてエンジンの中を転がっていた……。今回は、ガイドが実際にレースで体験した、そんなぞっとする話を紹介します。

執筆者:宮島 小次郎


オーバーレブが原因でロッカーアームが脱落した!?

 ヴィッツレース
ネッツカップ・ヴィッツレースは、ナンバー付きのレース仕様車で争うトヨタ・ヴィッツのワンメークレースだ。クルマの性能はほとんど変わらないので、結果はウデ次第というところが最大の魅力だ
私事なネタで恐縮ですが、今年ネッツカップ・ヴィッツレースというトヨタ・ヴィッツをベースにしたレースに参戦しているのですが、実は先日のレースで後から考えるとよく大丈夫だったな、と思うようなちょっと怖いトラブルを経験したので、紹介したいと思います。

ヴィッツレースは本格的なJAF戦ということもあって、大会によっては金曜に練習走行、土曜に予選、日曜に決勝と3DAYで行われることもある、なかなか長丁場のレースです。このときは金曜日の練習走行から、私のクルマはエンジンが吹けずに、さっぱりタイムが出ません。こんな時は、いくら「エンジンの調子が良くないようだ」とメカニックに言ったところで、全く相手にされません。

ただ、それまでの状況で、最後に走行したときもエンジンが吹けない症状が出ていたことを思い出し、エンジン回転をチェックしてみると(エンジン回転が最高で何回転まで回ったかを後から確認できるのです)、前の走行でオーバーレブをさせていたことが判明しました。ヴィッツに搭載される1NZエンジンでは、通常6300回転ほどでレブリミットに当たるはずが、8000回転近くまで回った記録が残っています。

ヘッド内部
ヘッドの内部には、カムシャフトとその動きをバルブに伝える動弁機構が組み込まれる
原因はもちろん、シフトミス。さすがにそれはマズいね、ということになり、急遽ピットでヘッドカバーを開けて原因を調べることになりました。ヘッドカバーを開けて、エンジンの中(といってもカムと動弁系しか見えませんが)をのぞいてみると、なんと付いているはずのロッカーアームが見当たりません! それも4か所も!!

ロッカーアームというのは、動弁機構のメカのひとつでカムシャフトの動きをバルブに伝達する役割を果たしている部品です。昔はカムが直接バルブを押す直動式が多かったのですが、最近のエンジンではヘッドをコンパクトに設計するために、このロッカーアーム式が採用されるエンジンが多くなっています。

話が逸れましたが、ロッカーアームが外れているということは、当然そのバルブは全く作動しません。ヴィッツのエンジンは、4気筒ツインカムの4バルブタイプですが、全部で16個のバルブのうち4個が作動していなかったのですから、遅くて当然です。ただ、問題なのは外れた部品はどこに行ってしまったのか、です。

次ページでは修理の様子をお伝えします
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