油分を与えずに潤滑ができるドライルーブ
ドライルーブforダンパー 価格/オープン(実勢価格1480円) 問/東洋ドライルーブ |
東洋ドライルーブとは、もともと米国のドライルーブ社の製品を日本へ輸入する商社からスタートし、やがて国内のニーズにマッチした潤滑剤の開発を手掛けるメーカーへと発展した会社です。ドライルーブという言葉は聞き慣れないかもしれませんが、「ドライ=乾燥」「ルーブ=潤滑剤(ルブリカント)」を組み合わせた造語で、オイルなどの潤滑剤とは異なり、乾燥した状態で潤滑が可能な皮膜を形成する潤滑方法を意味します。
このドライルーブのテクノロジーは、自動車ではワイパーブレードのゴムやアクセルペダルのリンク部、またエンジンのスロットルバルブなどに使われています。その他にも身近なところで、カメラやOA機器、家電製品など様々な分野で採用されている技術なのです。
では、そんなドライルーブをダンパーのどこに処理するのか、というと、いわゆるピストンロッドと呼ばれる実際に上下に動くロッド部分です。ダンパーの中には減衰力を発生させるためのダンパーオイルが封入されているのですが、ピストンロッドが出入りする部分にはこのオイルが漏れないようオイルシールがセットされています。
実はこのオイルシールというのがちょっと難しい部分で、内部のオイルが漏れないようにしっかりと密閉する役割を果たしながらも、ピストンロッドが上下動する際の妨げにならないように抵抗も抑えなければならないというふたつの相反する役目を持っています。ですが、機能的にどちらを重視すべきかといえば、やはりオイルが漏れないようにシールする機能が優先されることは間違いありません。そのため、サスペンションが路面の起伏に合わせて上下動する際、ダンパー内部にセットされたピストンバルブで設定された減衰力と合わせて、ピストンロッドがシール部を通過する際に発生する抵抗もある種の減衰力として作用してしまいます。
ただ、これは本来狙って発揮される減衰力ではなく、ダンパーがスムーズに作動する際の抵抗となるものですから、サスペンションの動きの渋さ、すなわち乗り心地や路面への追従性の悪化といった症状となって現れます。そこで、ピストンロッドにドライルーブ処理を施し、ピストンシールとのフリクションを減らすことで、サスペンションをスムーズに働かせてやろう、というのが、この製品の狙いというわけです。
説明が長くなってしまいましたが、実際にその効果はどうだったのか、次ページで紹介します