カーメンテナンス/車の点検ポイント

粘度選びはオイル選びの醍醐味

オイル選びにおいて、銘柄やベースオイルの材質と同様に重要になってくるのが粘度の設定だ。粘度によって、エンジンのフィーリングや燃費性能も影響してくるだけに、粘度選びは慎重に行いたい。

執筆者:宮島 小次郎


レスポンス重視なら柔らか目の粘度を選ぶ

オイルの粘度
オイルの粘度は、製品のパッケージにはっきりと表示されている。ただ、ブランドや銘柄を決めていくと必然的に粘度も決まってくることもある
前回までの記事で、エンジンオイルのブランドと材質の選び方について紹介しましたが、今回はいよいよ最大の難問、オイル粘度の選び方を紹介します。オイルの粘度は、製品のパッケージに表記されている●W-●●といったデータから読み取ることができます。すでにご存じの方も多いと思いますから、ここではその詳しい説明は省きますが、基本的には●Wの数字が小さいほど低温時の流動性が高く(始動性に優れる)、ハイフンの後ろの数字が大きいほど、温まった時の油膜保持性能に優れる(エンジン保護作用が高い)と覚えておけばいいでしょう。

粘度については極端な変更をすることは禁物です。基本は以前にも紹介したように、自動車メーカーが推奨するオイルの粘度です。特に全く新しいオイルを試してみる場合には、粘度まで変えてしまうとオイルの性能によって変化したのか、粘度の違いで変化があったのか分からなくなってしまいますから、まずは指定オイルと同じ粘度を試してみるといいでしょう。そこで得られたフィーリングの違いなどから、次回のオイル交換で違う粘度を試してみると今後のオイル選びにも参考になるデータが得られるはずです。

では、実際に粘度を変えてゆく際の考え方についてですが、どのような効果を求めるかによって、その方向性は変わってきます。エンジンのレスポンスや吹け上がりをスムーズにしたいとか、燃費性能を向上させたい、またはエンジンを労わって長く乗り続けたいと考えている、というように、人それぞれ求めるものは違うはずです。

例えば、エンジンのレスポンスや吹け上がりを良くする、という場合には、オイルによるエンジン内部のフリクションを低下させる方法が有効です。そのためには、例えば指定オイルが10W-40であれば、10W-30や5W-40、あるいは5W-30というように低温もしくは高温粘度(あるいはその両方)が低いオイルを選べばいいでしょう。ただし、特に高温粘度の低いオイルを選ぶということは、高温時の油膜保持性能が下がることも意味しますから、それを補うだけの性能を持った製品を選ぶ必要も出てきます。もっとも自分はエンジンに負担を掛けるようなハードな運転はしない、というように使い方を限定しているのであれば、そうした部分まで気に掛ける必要はないかもしれません。

また、低い粘度のオイルを使用することは、燃費面でも有利になります。ただし、いくらエンジンの回り方がスムーズになるからといって、あまりにも粘度の低いオイルを選ぶのも危険です。最近ではハイブリッドカーなどの低燃費エンジンが増えてきたこともあって、オイル売場には0W-20といった極端に粘度の低いオイルも数多く並べられていますが、こうしたオイルをもともと指定されていないエンジンに使用するのはよくよく検討する必要があると思います。

ただ最近では海外の高性能エンジンオイルで、ハードユースにも対応する超低粘度オイルというのも販売されており、エンジンの保護性能と高レスポンスを両立できるという話も聞かれます。中には0W-5(!)という信じられないほど低粘度なオイルもあり、その吹け上がりの鋭さはまるで別のエンジンに変わったかのようだとも言われていますので、興味深いところです。

次ページでもさらに粘度の話を紹介します
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