ベースオイルは予算と目的に合わせて選ぶ
オイルの基本となるベースオイルは、大きく鉱物油(高V鉱油)、部分合成油、化学合成油の3タイプに分けることができます |
ただ、それぞれに一長一短もありますから、化学合成油が全てにおいて優れているとは限りません。例えば、化学合成油の中にはエンジンのゴム製シールへの攻撃性が高い(またはゴムを膨張させる)ものがあります。こうしたオイルを設計の古いエンジンに使用するとオイル漏れを起こしやすくなります。
もちろん、化学合成油の中でも高性能なものでは、従来の鉱物油ではなしえないような機能を備えているものもあります。例えば、「エステル」という合成油は、電気的に金属表面に付着することで、オイルを十分に供給できない始動時の摩耗防止に高い効果を発揮します。さらにこのエステルにもいくつかの種類が存在し、それぞれに特徴があるという具合に、オイルの中でも最も進化が著しいのがこの化学合成油です。
また、ベースオイルの違いは、コストにも大きく影響してきます。同じブランドの中でも、鉱物油ベースの廉価モデルと化学合成油ベースの高性能モデルでは、数倍も価格差があることがありますから、選択時にはそのあたりも考慮すべきです。ただいくら高価なオイルでも、交換サイクルが極端に長くなるわけではありませんし、本当にその価格差に見合った効果が得られるのか、ということを考えると、ちょっと疑問な部分もあります。
実際、自動車メーカーの指定オイルには鉱物油ベースが多いことからも分かるように、一般な使用状況では特に鉱物油でも問題が出るということはないでしょう。逆にちょっとしたフィーリングの変化を楽しみたい、サーキット走行などハードな状況で使用するという場合には、本当に高性能な化学合成オイルを使用するメリットも大きいでしょう。
規格はオイルの性能をあらわす基準
次にオイルの規格、国内で流通している製品ではSA~SMのアルファベット2文字で表記されるAPI規格がよく知られていますが、こちらももちろんオイル選びには大切な要素ではあります。ただし、現在普通に店頭で販売されている製品はほとんどがSJ級以上のものですから、実際にはそれほど気にする必要はないかもしれません。最新のSM規格は、主に環境面での性能向上を目標としたもので、実際のエンジン性能などにはそれほど影響しないようですから、必ずしも最新の規格をクリアしている必要はありません。また、性能的には十分に最新の規格に適合するものでも、その規格への適合を確認するためのコストなどの問題から、旧規格適合のままとしている場合やAPI規格すら取得していない製品もあると聞きます。そのため、なるべく新しい規格をクリアしているに越したことはありませんが、それだけで全てを判断することはできないのです。
さて、ブランドや銘柄、ベースオイルが決まったら、あとは粘度選びということになるわけですが、そのあたりについてはまた次回詳しく紹介いたします。