最新の車両制御技術に基づくパーツ選択
ステージを選ばず、安定して高性能を発揮できるのは、最新の車両コントロール技術による成果だ |
まずブレーキについてですが、現代のクルマはABSを中心とする制御によって、限界状況における高度な車両コントロールを行っています。例えばドライバーの操作では、ひとつのペダルで4つのブレーキを同時に制御するコントロールしかできませんが、最新のABSでは一輪ごとに最適なブレーキ配分を行うことで、クルマの姿勢を安定させるようなブレーキ制御を行っているのです。
そんなときに例えば予めプログラムされていたのとは、効き方の異なるブレーキパッドなどが組み込まれていた場合、どうなるのでしょうか。まともに走れなくなるということはないまでも、限界時のABS制御に不具合が出てくる可能性は考えられます。
実はこの症状は、やはり最新の車両制御システムを導入するミツビシのランエボXにおいて、すでに見られています。先日、雑誌の取材の折、早速ブレーキパッドを社外のスポーツタイプに交換したランエボXでサーキットテストを行っていたところ、どうもブレーキの制御に違和感が感じられるようになりました。その原因がブレーキパッドの特質によるものだったとしても、何ら不思議はありません。
同じくタイヤの銘柄というのも、そうした車両のスタビリティコントロールの面に影響してくることが考えられます。また、標準装備されるのが特殊サイズ(F:255/40ZRF20、R:285/35ZRF20)のランフラットタイヤであるというのも問題かもしれません。ホイールについても、サーキット走行における超高速域(サーキット走行時には自動的に車速リミッターが解除されるそうです)での安全性を考えると、十分に強度が確保されたホイールが必要になるはずです。
最後にマフラーについてですが、GT-Rではターボエンジンが採用されています。そのため、マフラーを変えることで排気効率が変更され、過給圧に変化が生じるなど、エンジンの制御に影響を及ぼす可能性が考えられます。簡単にいえば、マフラーを抜けの良いものに交換すると、パワーが上がってしまうかも、ということです。そうなれば、耐久性やエンジンの発熱量などに問題が生じる可能性もありますから、やはりマフラー交換も規制したいというのが、メーカーの考え方なのでしょう。
サーキット走行にまで対応できる設計
マフラーは取り回しや細部を見ても、かなり高度な設計が施されていることが分かる |
これからのハイパフォーマンスカーは、ますますその性能を発揮できる場が限られてきます。そうした際に、思う存分クルマの性能を堪能できるステージとしてサーキットは、社会的にもその重要性が高まってくることでしょう。特殊なメンテナンス方法が必要となるGT-Rは、そんなクルマ社会の将来まで見据えた設計がされている、と見ることができるのではないでしょうか。
■関連サイト
●NISSAN GT-R専用サイト
● NISSAN GT-Rに見る次世代のカーメンテナンス