カーメンテナンス/車の洗車・室内清掃

あきらめないで! レザーシートの傷や擦れ(2ページ目)

表面の擦れや傷など、クリーニングだけでは落としきれないレザーシートのダメージも、レザーリペアと呼ばれる手法で、張替よりも安価に修復が可能です。今回はそんなプロの技をご紹介します。

執筆者:宮島 小次郎

再塗装を施すことで新車時のような美しさに!

銀面再生
塗装が完全に?げて、銀面まで傷が及んでいる場合には、パテのようなもので人工的に銀面を再生します
それでは実際の作業工程を紹介します。まずはしっかりとレザー表面をクリーニングし、汚れだけでなく油脂なども落とします。ボディの塗装と同じく、表面に脂分や汚れが残っていたのでは、しっかりと塗料が乗らないので、この処理はとても重要です。汚れているだけの状態であれば、このクリーニングだけでも見違えるほどきれいになるはずです。

 

皺取り
当て紙をした上からコテで熱を加えることで革を収縮させ、皺を取るという技法も使われます
銀面が露出し、革の繊維質にまで痛みが進行している部分には、板金塗装でいうところのパテ付けに当たる作業を行うことで、人工的に銀面を再生し、表面をなだらかに整えます。この処理を行わないと、革の繊維質に塗料が吸収されてしまい、塗装面のような仕上がりを得ることができません。また皺が寄っている部分は、コテなどを使い皺を伸ばすような作業も行われます。

 

塗装
塗装はボディ同様に圧縮空気を利用したガンでスプレーしますが、塗料の調色が仕上がりを左右します
下地の処理が完了したところで、いよいよ塗装作業に入ります。ここでポイントとなるのが、調色です。特にシートの一部分のみを塗装する場合には、他の部分と色が合わなければ違和感のある仕上がりとなってしまいます。シート全体を塗装する場合でも、ドアトリムなどと色が合わなければ、やはり完璧な仕上がりとはなりません。そのため、この調色が作業者の腕の見せ所ともいえます。

 

補修後1
塗装が剥げた部分は、再ペイントによって違和感のない仕上がりに
調色が完了したら、後は内装の各部をマスキングし、塗装を行います。塗装作業自体は、外装のペイントと同様に、圧縮空気を利用したスプレー式のガンで行われます。そしてボディペイント同様、使われる塗料によってもその仕上がりに差が現れるようです。

 

補修後1
銀面まで擦れが進行していた部分も、見分けがつかないほどに復元
特にレザーの場合は、柔らかな感触が重視されるのですが、完成後の質感は使用する塗料によって決まるといっても過言ではありません。モックスではこれまで様々なメーカーの塗料を試してきた結果、塗装後の質感が高く耐久性にも優れる某メーカー製の塗料に落ち着いたといいます。

 

画像名
座面も擦れた部分はしっかりと補修された上に、深い皺も少なくなったのが分かる
今回の作業は、クリーニングはほとんど必要ない状態であったということもありますが、フロントシート2脚を全体的に塗装する、という内容で、作業時間的には3~4時間というものでした。事前のクリーニングによってある程度汚れは落ちていたため、塗装の剥がれ部分と深い皺が気になる程度の状態ではありましたが、傷の補修と合わせて全体的に色を入れることで、まさに新車時に近い状態に甦ったと感じられるほどの仕上がりでした。

次ページではレザーリペアの作業例を紹介します
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