カーメンテナンス/車の点検ポイント

夏に向けたメンテナンス~冷却系編その1(3ページ目)

本格的に暑くなる夏本番に向けて、ぜひやっておきたいのが、冷却系のメンテナンスです。エンジンオイルには気をつかっているけれど、冷却水ってそういえばいつ換えたかな? という人はぜひこの機会にメンテを!

執筆者:宮島 小次郎

水漏れを防ぐ予防的な意味合いもあり

劣化した冷却水
写真は3年3万km無交換だった冷却水(左)と新品(右)を比較したものです。とても同じ色だったとは思えないほど、汚れているのが分かります
ところで、冷却水を定期的に交換することの意味は他にもあります。それは冷却水路内に溜まった水垢などの汚れをクリーニングすること。そして腐食による冷却水漏れを未然に防ぐというものです。

右の写真のように、冷却水は水路内の汚れや不純物などを取り込むことで、だんだんと汚れてきます。そのうちそうした汚れは水路の細かい部分に水垢として溜まり、冷却システムの効率を徐々に悪化させてしまうのです。冷却水を交換することは、そうした汚れを排出し、冷却水路内をきれいにすることで、本来の機能を取り戻すという効果もあるのです。

そしてもうひとつ大切なのが、防錆性の低下による各部の腐食です。新車のうちは気にならないそうした問題も、特に年式の古いクルマや輸入車などでは深刻なトラブルにつながりやすいものなのです。重大なトラブルとしては、冷却水路を仕切っているガスケット(水が漏れないようにするためのパッキンのようなもの)が腐食して、オイル経路などに冷却水が侵入してしまうケースが挙げられます。その結果、最悪の場合は、エンジンを完全に分解して洗浄するオーバーホール作業が必要になることもあります。

冷却水漏れの例
写真は室内に設置されたヒーター装置の付近から、冷却水が漏れた例です。早めに対策をすれば軽症で済む場合もありますが、水漏れはなかなか厄介なトラブルです
また夏場になると使われなくなるヒーターの経路内では、冷却水が長期間循環せずにとどまっているため、腐食を発生させやすいポイントといえます。この場合、冷却水が室内に漏れ、車内に異臭が漂うなどの症状が現われることもあります。こちらも漏れた箇所によっては、ダッシュボード付近を分解する大掛かりな修理が必要となる可能性があります。

そうした重大なトラブルを防ぐ意味でも、冷却水の定期的な交換をオススメしたいのです。冷却水の交換には、自動車整備についての十分な知識とちょっとした装備も必要となりますから、できればプロの整備士に依頼するといいでしょう。

次回も冷却系メンテナンスについて、もう少し細かいポイントを紹介したいと思います。
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