カーメンテナンス/車の点検ポイント

詰まりを生じるとトラブルを招く結果となる エアクリーナーの点検・交換

耐久性が重視される市販車のエンジンにとって、空気中に浮遊するチリやホコリは大敵。エアクリーナーにはそれを濾過するという大切な働きがあり、距離を走れば詰まってくるため定期的に交換する必要があるのだ。

執筆者:鈴木 伸一

 空気中には目に見えない細かなチリやホコリが蔓延しており、路上ともなれれば路面から舞い上がる砂ホコリに排気ガスと、環境はさらに悪化する。
 そんな汚れた空気をエンジンにダイレクトに送り込んでしまうと、シリンダとピストン間をヤスリで削っているのと同じ結果となって摩耗を促進。摩耗が進行すれば気密性が悪くなり、コンプレッションの低下や燃焼ガスの吹き抜けといったトラブルを誘発する。そして、アイドリングの不安定や出力の低下、オイルの劣化を促進することに・・・。
 これらはあくまで長期的に見た場合の現象だが、耐久性が重視される市販車において無視することはできない。そこで、このようなトラブルを防ぐ目的から、吸入空気を濾過する働きをする「エアクリーナー」が装備されている。設置場所はエンジンの吸入経路の末端。サージタンク(アルミ製の筒の部分)端のスロットルバルブに接続されたダクトを辿っていくと樹脂ケース(エアクリーナーケース)にたどり着く。その中に組み付けられているのだ。
 ところが、常にホコリをキャッチしているため、走行距離が増えるほどに目詰まりしてくる。そして、その目詰まりを放っておれけば新たなトラブルの要因となってしまうのだ。
 その際たるものが混合気の濃すぎで、アイドリングの不安定や加速の不良を引き起こす。当然、燃費にも悪影響する。例えば、電子制御燃料噴射仕様の場合、実質的な空気量が減少することで、その空気量に見合った燃料が噴射されるためパワー不足となり、アクセルをより強く踏み込むことで燃料を余計に使ってしまうことになる。このため、定期的な点検・交換が必須で、エンジンの不調や燃費の悪化といった症状が現れたときもチェックする必要があるのだ。
 この「エアクリーナー」、純正品では不織布を折り畳んだだけの「乾式」と、形状は同じものの吸塵効果を高めるためにオイル分を含ませた「ビスカス式」の2タイプがある。前者は高圧エアで吹くことで清掃できるため、多少の汚れは簡単に落とすことができる。が、後者は油分がホコリやチリを吸着するため、エアダスターで吹いても汚れは落ちない。むしろ汚れ押し込む結果となるので要注意!清掃するにしても路面に叩きつけて大きなごみを落とすだけでよい。
 なお、メーカー指定の交換サイクルは「2年又は4万km毎」となっている。が、目詰まりの仕方は道路状況や使用環境によっても大きく異なる。例えば、未舗装路や渋滞走行など空気が汚れた状況下での使用が多いければより早く詰まりだす。クルマのためを思えば話半分の1年もしくは2万km走行。遅くとも3万kmを目安にチェックし、左の写真(左側は新品)のように濾紙全体が真っ黒になっていたり、油分によるジトッとした汚れの付着が激しかったときは迷わず交換してしまいたい。
●エアクリーナー交換
1.上フタの固定ねじを取り外す
エアクリーナーケースの周囲にボルトやスクリューがセットされていたら(4~6本)ねじ止めタイプ。この場合、すべてのボルトあるいはスクリューを取り外す。
2.クランプ式だったら工具は不要!
ケース側面に金属板を加工したロックレバーが組み付けられていたら、工具は不要だ。上部の耳の部分に親指をかけ、押し下げつつ手前に反らせるようにして引っぱっれば外すことができる。同様にして、全てのロックを解除する。なお、はめるときは押し込むだけでOKだ。
3.上フタを引き上げつつ抜き出す
エアクリーナーケースの上フタを引き上げつつロアケースにはめ込まれているエアクリーナーを抜き出す。なお、上フタを外せばエアクリーナーはむき出しになるが、このタイプのクリーナーケースは下面から外気を吸入する構造となっているため、裏面にホコリが堆積する。
4点検だけでも必ず抜き出して確認を
このため、点検が目的であったとしても、一旦取り出して裏返して確認する必要があるので注意したい。
5.ケース内のよごれを拭き取る
吸入したホコリはクリーナーケースの内部にも溜っているので、組み付ける前にきれいに拭き取っておく。
6.向きに注意しながら組み込む
新品のエアフィルターをケースにセットし、元どおり組み上げる。上下が決まっているので間違えないよう注意!さらに、上フタは押えつけることなく、ピッタリはまり込むよう確実にセットすることが肝心だ。
7.上フタを元通りセットして終了
上フタをセットしたなら固定ボルトをセットし、内側から外側に向けて対角線上に、順に締め付けていく。
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