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マグネット用品の効果は如何に エンジン摩耗粉除去製品とは?

エンジン内に発生する金属摩耗粉を取り除くマグネット用品がありますが、どのような効果が期待できるのでしょうか。

執筆者:高山 則政

オイルフィルターなどにマグネットを装着して、エンジンオイルに含まれる微細な金属粉を除去。その結果、エンジンの摩耗を減らして、オイルやエンジンの寿命延長を図り、エンジン出力や燃費向上をもたらすとする用品があります。どの程度の効果が見込めるのか、今回は理屈編です。

エンジン摩耗粉の成分は?
 エンジンオイルに含まれるダストは、エンジンの摩耗を促進させてしまいますが、軸受けやシリンダー、ピストンなどの摺動(しゅうどう)部が擦れ合うことで、少しづつですが金属粉末が発生します。エンジン焼きなどのトラブルを起こした場合は、金属表面が掻きむしられるように摩耗するため、大きな粒子の摩耗粉が発生することがあります。ひどい場合は、抜いたオイルが金箔ならぬ銀箔入りになっていることで内部のダメージ度が推測できてしまうこともあるようです。

 ここまで、ひどい状態にならなくても、多少の金属粉が出ることは避けられません。過酷なテストで、エンジンを100時間も全負荷で回した後のパーツを検証すると、寸法が小さくなったり軽くなっているのが測定できるそうですが、それだけ削れてしまったということになり、オイル中に分散していると考えることができます。

 ホンダにスーパーカブという(50~90CCがメイン)バイクがありますが、これは耐久性が非常に優れてことでも有名です。このエンジンには、オイルフィルターというものはありませんが、内部のクラッチには遠心分離器のような働きをする受け皿のような部分があります。バイクの場合、クラッチが湿式でミッションなども一緒に潤滑することもありますが、なかでも磁性体の物質は摩耗を早めるので、そのような粒子を効果的に除去する機構となっているそうです。

 話をクルマのエンジンに戻してみると、オイルフィルターである程度の粒子径まではダストを除去できますが、それを通過してエンジン内を循環する摩耗粉も存在すると考えられます。そうすると、オイルフィルターに装着するようなマグネットも効果がありそうかなと思われます。

 磁性体物質というのは磁石にくっつく物質で、エンジンで使われているパーツでは鉄が主要なものになります。では、オイルで潤滑されるパーツで鉄系の部分はというと、まずエンジン本体のシリンダーが挙げられます。他には、ピストンリング、クランクシャフト、コンロッド、カムシャフト、バルブ、ロッカーアーム(含 リフター)、オイルポンプを構成するギヤなどがあります。

 いずれも僅かずつ消耗していくものなのですが、鉄系以外のパーツも多くあります。例えば、クランクシャフトが装着されている軸受けはメタルといわれますが柔らかいスズや鉛(環境対策で減っている)、銅などの合金で、柔らかく造られています。また、カムシャフトが装着されているエンジンのヘッドなどは、地金のアルミ合金そのままを軸受けとしています。

 ですから、エンジンの摩耗粉といわれるものが、必ずしも鉄系ではないということを知っておく必要があると思います。エンジンから抜いたオイルを調べると、鉄以外にもアルミ、銅、クロム(ピストンリングのメッキ)、等が検出されるということからも、これの裏付けになっていると思います。
 ただし、磁性体つまり鉄系の摩耗粉の方が硬い分、影響度も大きいと考えられるので、これらを取り除くことができれば、摩耗を低減させる効果は高いと考えられます。
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