画像2は、エンジンの内部が分かるように一部の部品を取り外したものです。V8のディーゼルなので恐らくトラック用だと思われます。一番左のシリンダーには何も入ってなくて、右隣のシリンダーにはピストンが入っているのが分かります。さらに右の2つのシリンダーにはシリンダーヘッドが乗せられており、バルブスプリングやバルブを上下させるロッカーアームというテコの機構を見ることができます。
画像3は、VWのV10ディーゼルで新型の高級車フェートンに搭載されるエンジンのようです。このカットモデルは、シリンダーを縦に割ったもので、中央にあるピストンとその下にあるコンロッドやクランク、さらに上にあるバルブとの位置関係が良く分かります。このカットモデルでは、ピストンリングは省かれています。ピストン上面はえぐられていて、ここが燃焼室の一部となりますが、ガソリンエンジンのものとはかなり異なった形状です。
エンジン内部ってどこ?
言葉の定義って難しいなあと常々思います。よくエンジン内部に汚れが溜まって・・・などという話がありますが、エンジン内部といっても色んな場所があり、それぞれの役割や汚れの種類、それによるトラブルの出方は全く違ってくるからです。
例えば、シリンダーブロック周辺で考えてみると、燃焼室内部といえばピストンとシリンダーブロックの上に乗っかるシリンダーヘッドとの間です。ここでは、空気と燃料が吸い込まれ、燃焼したかと思うと排ガスを外に出し、また空気を吸い込むというサイクルが繰り返されています。汚れとして溜まりやすいのは、燃焼で生じた黒いカーボンです。
でも、ピストンの下側はクランクケースなどといい(正確にはシリンダーより下になるでしょう)、上下するピストンに連動してコンロッドやクランクが激しく動いている部分です。その下には、オイルが溜まっていて、シリンダーヘッドからのオイルが戻ってきたりしています。作動中は、細かいオイルの霧やピストンとシリンダーをすり抜けてきた未燃焼ガスが充満しているはずです。
こちらは常にオイルで濡れたようになっていますが、オイル管理が悪いとヘドロ状のスラッジが溜まってきます。これには、燃焼室からすり抜けてきた未燃焼ガスも関係してきますが、いずれにせよ、ピストンの上下で全く違う世界があります。
さらに、シリンダーブロックには冷却水が循環する冷却水通路やオイルを各部に行き渡らせるためのオイル通路もあります。ここだって、冷却水やオイルの管理が悪いと汚れが堆積して、オーバーヒートや焼き付きなどを引き起こすことがあります。
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