ひとくちにエンジンといいますが、それ自体は実に多くのパーツで構成されていて、エンジンルームから外見を見たくらいでは、どこからどこまでが一つの部品なのか、またはパーツ同士の関係などが今ひとつ分からないこともあると思います。そこで、エンジンを構成するパーツ単体を紹介してみたいと思います。
土台はシリンダーブロック
一般的なガソリンまたはディーゼルエンジンは、ロータリーエンジンなどの他の原理で動くエンジンと区別するため、レシプロエンジンなどと呼ばれることもあります。厳密な定義はちょっと違うのかもしれませんが、普通はシリンダー内を往復するピストンで軸を回転させて動力を発生する内燃機関として使われていると思います。何だか余計ややこしい表現になってしまいましたが、マツダのロータリーエンジン以外の、クルマやバイクのエンジンがこれにあたります。
ピストンが往復する丸い筒がシリンダーで、この筒の中をピストンが上下し、コンロッドとクランクシャフトでピストンの往復運動を回転運動に変化しています。シリンダーの数はエンジンのスペックを決める基本で、軽自動車は3~4シリンダー(気筒ということが多い)、普通車は4や6シリンダー、大排気量エンジンでは8、10、12シリンダーというバリエーションがあります。特殊なものでは、5シリンダーというのもあります。
これにシリンダー配置という要素が加わりますが、最も単純なのがシリンダーを直線上にならべた「直列」で3~6気筒で良く採用されるレイアウトです。6気筒以上ではV型といって、シリンダをエンジン正面から見てV型に並べたものがあり、国産車では2リットル以上の6や8,12気筒のエンジンで多いパターンです。変わり種ではVWのV型5気筒、W型8気筒、W型12気筒があります。また、スバルやポルシェでは水平対向というクランクを中心としてシリンダーが水平に寝かされた配置になります。
シリンダーブロックというのは、シリンダーはもちろん、シリンダーヘッドやクランクシャフト、その他パーツを組み込むための基礎(土台)となるものです。
画像1のは、V型12気筒のアルミシリンダーブロックで、確かベンツのものだったと思います。片側の列(バンクといわれる)に6気筒ずつ並べられているのが良く分かります。シリンダーの中にはピストンが入り、ブロックの下側にはクランクシャフトが装着されます。
シリンダーの上には、シリンダーヘッドが乗せられ、吸排気系統やバルブ駆動系が装着されます。ボンネットを開けて上から見えるのは、シリンダーヘッド上のカムカバーやその上の防音カバーで、周囲は吸気管や排気管が大きくスペースを取っています。また、シリンダーブロックの前にはカムシャフトの駆動機構やベルト関係が、後ろにはミッションが装着されます。横にはエアコンやパワステのポンプ等が付き、クルマの下から覗いた時には、ブロックの下に装着されるオイルパンが見えることになると思います。
というわけで、クルマに搭載されるとシリンダーブロックのほんの一部しか見えなくなっているのです。