エンジンオイル漏れは「ヘッドカバー付近」から起こりやすい
湿り気があったら要注意
エンジンのヘッドカバーで起こるオイル漏れ ここに注意
車やエンジンのパーツそのものは、鉄やアルミなどの金属で造られていますが、パーツ同士の合わせ面や回転するシャフトのある部分では、ゴムや樹脂系のパーツを使用して内部のオイルなどが漏れないようにしているところがあります。金属のパーツであれば、破損や緩み等の不良のない限り、そのパーツの真ん中からオイルが出るようなことはありませんが、ゴムなどは使っているうちに徐々に劣化してきます。例えば、古くなったタイヤは、走行による消耗はもちろん、ゴムが硬化してヒビ割れなどを起こすのと同じようなことが、メカの構成部に使われるゴムにも発生します。今のクルマは品質がよいので(リコールは結構ありますが、材質という意味で)、新車から7年くらいでは目立った痛みはありませんが、それ以上になってくるとエンジンルームでオイル漏れが発生している場合があります。
特に定番とも言えるのが、ヘッドカバーというエンジンの一番上に付いているフタです。この中には、カムシャフトやバルブを上下させる機構が入っていて、オイルの注入口も付いています。ヘッドカバーはゴムのパッキンを挟んでエンジンに取り付けられていますが、このパッキンが痛んでくるとオイルが漏れてくるのです。
初期のエンジンオイル漏れの滲みなら、しばらく様子を見る手も
ヘッドカバーの内部には、エンジンが作動中の時だけオイルが飛び回っています。逆に、エンジンの一番下にあるオイルパンは、常にオイルを貯めていなくてはならないので、密閉度はより高くされています。オイルパンでは、ゴムのパッキンを使うのは少なく、液体パッキンというボンドのようなもの(DIYセンターにある水まわりのすき間シール材に近い)で細かな隙間も埋めるようにしてあります。このタイプでは、オイル漏れはまず起こりません。それに比べると、ヘッドカバーはメンテナンスのために脱着する可能性が高いせいもあるため、パッキンを挟んでボルトやナットで軽く固定されているという感じです。また、これは推測ですが、スバルのような水平対向エンジンではヘッドカバー内面をオイルが伝わる量が多く、漏れに悩まされる事例が他のエンジンより多いのではないかと思います。全体的な程度は良好なのにもかかわらず、液体シール材をカバー周辺に塗りたくったエンジンを見たことがあります。
パッキンが痛んできて初期のうちは、ごくわずかなオイルニジミが発生します。この時は、オイルで湿った部分にホコリが付いて黒っぽくなる程度で、オイルの減りも無視できるレベルです。これが、さらに進行すると「漏れ」と呼べる状態で表面が濡れた状態になり、汚れの範囲もエンジンの下側やミッション側に広がっていくことがあります。さすがに、こうなるとオイルが減っていることになりますし、やっかいな汚れがこってり付着してくるので、その直前あたりで交換しておくのが理想的です。
エンジンオイル漏れ対処法:自分でパッキンを交換
今回購入した部品。価格は数千円程度
汚れがひどくなっているエンジンでは、作業前に周辺を洗浄しておいた方が手の汚れなどが少なく、交換作業がスムーズにできます。エンジンルーム洗浄については、次回以降に紹介しようと思います。
パッキンの交換は、ちょっとメカに詳しく多少工具を持っている人ならチャレンジしがいのあるものです。自分でプラグ交換くらいできる人なら、できるのではないかと思います。ただし、車によっては、配管類の脱着の方が面倒な場合もあります。1G-FEエンジンでは、吸気系の配管とプラグコードの取り外しが必要でした。これは楽な方で、ターボ車やV型、水平対抗エンジンなどは、かなり大変な作業になると思います。よほど好きな場合は別として、プロに依頼した方がよいでしょう(要工賃)。
オイル漏れの原因の古いパッキンは固く、ひび割れが発生していた
ゴムのパッキンを外している様子
ヘッドカバーを固定するナットを取り外すと、ヘッドカバーが外れてきます。外周部の溝にゴムのパッキンが入っているので、引っ張り出して取り外します。新品のパッキンと比べてみると、固く柔軟性を失っていて、少し曲げるとヒビが入っているのが分かります。ごくわずかな隙間でも、オイルの浸透力で漏れてくるのだろうと思います。新品パッキンを買う予算がない場合は、液体パッキンを全周に塗って再使用することもあります(私のことです)。
固く柔軟性を失い、ヒビ割れが発生しているパッキン
新品パッキンは裏表や向きを確認し、ゴムをヘッドカバーに対してずれないように、ピッタリ押しつけておきます。途中で浮き上がりがないのを確認したら、パッキンの直角部分(4隅のコーナー部ではなく、アーチ状になっている部分)や半月プラグ(シリンダーヘッド側の加工穴をふさぐ半月状のフタ)の上に、液体パッキン(ガスケットシールなどの名称でカー用品店にもある)を塗っておきます。このとき、油分があると付着が良くないので、ブレーキクリーナーなどを布に吹いたもので合わせ面を脱脂しておき、古い液体パッキンが付いているところは、エンジン内に落ちないよう除去しておきます。
パッキン交換の様子
ヘッドカバーを乗せたら、新しいゴムワッシャを載せて、各取り付けナットを締めていきます。このときは、カバーの中央よりのナットから徐々に締め込んでいくのがセオリーです。また、言葉で説明するのは難しいですが、締めすぎないように気をつける必要があります。多くの場合、ナットに近い部分を持ち、手首のひねりを使って締め込む程度で十分です。
今回のヘッドカバーのほか、ディストリビューターの差し込み部からのオイル漏れも、結構見られます。この場合は、Oリング(オーリング)という輪ゴムが不良のことが多いようです。